



- 第26位「7つの習慣」コヴィー
- 第27位「ペスト」カミュ
- 第28位「自助論」スマイルズ
- 第29位「ハムレット」シェイクスピア
- 第30位「人生論」 トルストイ
- 第31位「幸福論」ラッセル
- 第32位「フランクリン自伝」フランクリン
- 第33位「歴史とは何か」カー
- 第34位「生きがいについて」神谷美恵子
- 第35位「マネジメント」ドラッカー
- 第36位「文明論之概略」福沢諭吉
- 第37位「星の王子さま」サン・テグジュペリ
- 第38位「ニコマコス倫理学」アリストテレス
- 第39位「プロフェッショナルの条件」ドラッカー
- 第40位「超入門 失敗の本質」鈴木博毅
- 第41位「福翁自伝」福沢諭吉
- 第42位「こころ」夏目漱石
- 第43位「代表的日本人」内村鑑三
- 第44位「ブッダのことば(スッタニパータ)」釈迦
- 第45位「経営者の条件」ドラッカー
- 第46位「ガリア戦記」カエサル
- 第47位「エミール」ルソー
- 第48位「平家物語」作者不詳
- 第49位「茶の本」岡倉天心
- 第50位「言志四録」佐藤一斎
第26位「7つの習慣」コヴィー
【どんな本?】
過去の成功者に共通する法則を見出し、中でも重要なのは「高潔な人格」と「信頼に基づくWin-Winの人間関係」であると説く。全世界が認める20世紀最強の自己啓発本。何らかの目標や行動指針を持ちたいと思っている人に特におすすめ。
【コヴィーが伝えたいこと】
人生の成功に必要なのは、テクニックではなく、高潔な人格そのものである。外部からの刺激と自分の反応の間にスペースを置き、自分の反応に全責任を負わなくてはいけない。また、自分の進むべき道やゴールを明らかにし、意識的に時間とパワーを投下してそれに近づく努力も必要である。
自分の人格に自信を持つことで初めて、臆することなく他者と信頼関係を築くことができる。共感による傾聴によって相手も自分も高められるような道を見付けることで、あなたの人生はより豊かになる。
第27位「ペスト」カミュ
【どんな本?】
感染症の流行とそれに伴う死、離別、相互不信、現実逃避といった極限状態にあっても、神に頼らず、誠実さや自分の職務を果たす人々がいた。世の中の不条理に対し、人間はどう連帯し、どう抗い、どう生きるべきなのかを問う「不条理文学」の金字塔。
70年近く前の作品ながら、人々の混乱、行政の後手対応、増え続ける感染者、都市のロックダウンなど、2020年に始まった新型コロナウィルス感染症の流行と全く同じ光景が繰り広げられる。今こそ読み返されるべき一冊。
【カミュが伝えたいこと】
人間がペストという不条理に直面した際に為すべきことは、神に救済を求めることではなく、不条理に反抗することである。
神への信仰を維持し、自分を含む罪のない人々が不条理に死んでいく世界を愛し続けるか、あるいは神への信仰を捨ててそれに抗うかの二択なのである。人間が人間らしくあるためには、各個人がそれぞれの持ち場で出来る限りのことを誠実にやり遂げ、ペストという不条理と闘っていくしかないのだ。
第28位「自助論」スマイルズ
【どんな本?】
欧米人300人の成功談を集めた自己啓発本の古典。序文の「天は自ら助くる者を助く(Heaven helps those who help themselves)」という言葉が特に有名。日本では「西国立志編」という名前で発刊され、福澤諭吉の「学問のすすめ」と並んで「独立自尊を説く書」として読まれた。
「世界最古の自己啓発本」「あらゆる自己啓発本のルーツ」とされることも多い。トヨタグループの創始者である豊田佐吉や、サッカー元日本代表の本田圭佑も愛読。
【スマイルズが伝えたいこと】
財産も地位も天賦の才能もない人間でも、他人に頼らず独力で、勤勉と節約によって成功できる!
第29位「ハムレット」シェイクスピア
【どんな本?】
シェイクスピア4大悲劇の一つであり最高傑作。父を毒殺し、母と再婚して王位についた叔父への復讐劇の中で、ハムレットの感情の揺れや迷いを描き出す。「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」のセリフでも有名。
悲劇らしく、最終幕に向けて関係者が次々と死んでいき、最後には誰もいなくなる。息をつかせぬ展開に、最後まで一気に読めてしまう。シェイクスピアは欧米の知識人に共通する教養プラットフォームであり、異文化理解のためには必読。
【シェイクスピアが伝えたいこと】
「気高く」生きることを望むならば、人間は徹底的に悩み抜かなければならない。
叔父に父を殺され、王位と母を奪われた青年ハムレットは、理性的にもなりきれず、かといって感情的にもなりきれず悩み続けるが、最期は自分の信じた道を貫き通して復讐を果たす。ハムレットこそ、気高く生きる人間の姿である。
第30位「人生論」 トルストイ
【どんな本?】
ロシアの文豪トルストイが、人間が生きる意味を「幸福への志向」と定義した晩年の書。動物的自我を否定し、愛という人間固有の理性的活動で周囲を愛することにしか、人が生きる意味は無いとする。
「理性の力で幸福になる」という、極めてヨーロッパ的な考え方を学ぶ上でも最適な一冊。普段忙しく、心がなんだか乾いているなと思う人に特におすすめ。
【トルストイ が伝えたいこと】
科学は人間を自然の一部と位置付けたがる。その方が説明が簡単だからだ。しかし、結局この世は人間の視点でしか認識できないのだから、理性を中心に据えてどう生きるかを考えるべきである。
人間が動物のように一時の快楽を追い求めたり、そのために争ったり、死を恐れたりしていては、幸福にはなれない。人間は時間と空間を超えた理性的意識に従って、自分を愛し、他者を愛し、自分以外のすべての幸福を願う事で、真の幸福を得ることができる。そうすれば、死への恐怖は永遠の生へと変わる。
第31位「幸福論」ラッセル
【どんな本?】
ヒルティ『幸福論』、アラン『幸福論』、と並ぶ、いわゆる「3大幸福論」の一つ。第一部で回避すべき「不幸の源泉」を、第二部で追うべき「幸福の源泉」を説明する、三大幸福論の中で、最も論理的な作品。
どのような不幸をどのように回避し、どのような幸福をどのように追えばよいかを「心」ではなく「頭」で理解できる。ノーベル文学賞も受賞した作者が送る、21世紀の英知の代表例とも言える一冊。
【ラッセルが伝えたいこと】
幸福は、ごく少数の例外を除き、自然に手に入るものではない。人は自発的かつ主体的に不幸を「回避」し、幸福を「獲得」しなければならない。
特に仕事は大切である。熱意を持って社会に役立つ仕事をし、それに健全な誇りを持つことが、幸福の直接の源泉となる。
逆にこの世の不幸を産み出す源泉は「悲観主義」「競争」「過度の刺激」「精神的疲労」「嫉妬」「罪悪感」「過度な自意識」そして「世間からの評価」である。特に避けるべき最大のものは「過度な自意識」だ。
第32位「フランクリン自伝」フランクリン
【どんな本?】
アメリカ建国の父、ベンジャミン・フランクリンの自伝。自己啓発本の元祖。勤勉・倹約、科学的探究心、合理主義でいかに自分は成功したかを説く「おじさんの自慢話」ジャンルの最高峰。自ら「人生をやり直せると言われても、私は自分の生涯を全部そのまま繰返したい」と評する自信っぷり。
人徳を完成させるための「13の徳目」が本書の肝。「アメリカ人が尊敬するアメリカ人とは、どのような人物なのか」がよく分かる一冊であり、アメリカ研究でも用いられる。アメリカという国や国民性を理解する上では、本書、「アメリカにおけるデモクラシーについて」「プラグマティズム」の3冊は必読。
【フランクリンが伝えたいこと】
節制・勤勉・誠実・謙虚といった「人徳」を身に付けた者こそが、社会の役に立てる。
第33位「歴史とは何か」カー
【どんな本?】
歴史哲学の大家E・H・カーが1961年にケンブリッジ大学で講演した「歴史とは何か」を書籍化したもの。
歴史とは客観的事実を集めることではなく、事実の背後にある価値体系や思想体系まで含めて解釈し、後世に伝達することだと主張する。欧米では、歴史を学ぶ者にとって「必読書」と言われている。
【カーが伝えたいこと】
過去の諸事件に秩序を与え、これを解釈し、社会の役に立てることが歴史家の仕事である。しかし、いくつか心に留めておくべきことがある。
まず、歴史は科学ではない。次に完全に客観的な歴史などあり得ない。偉人の成果だけに着目して歴史を把握することも誤っている。また、歴史にゴールは無いし、歴史には進歩も後退もある。ただ、進歩を信じ、後世のためにそれまでの経験を伝達する義務を果たすだけである。
第34位「生きがいについて」神谷美恵子
【どんな本?】
ハンセン病施設で医療活動に従事した精神科医神谷美恵子が、苦しみや悲しみの底にあっても、なお朽ちない希望や尊厳を患者の中から見出す。そして、健康な者に「生きる意味」を問う。日常への感謝、充実感、生きる力が内側から湧いてくる一冊。
【神谷美恵子が伝えたいこと】
人は通常の日常生活が送れなくなると、切実な必要に追いやられて、「生きるとは何か」「何を生きがいとするか」を問う精神世界に基盤を置くようになる。
自分は天に必要とされていて、忠実に生きぬく責任があるのだという使命感を感じ、何かに打ち込むところまで達すると、人は前向きに生きられるようになる。人間の存在意義は、決してその利用価値や有用性によるものではない。私たちにできることは、絶えず新たに光を求め続けることだけである。
第35位「マネジメント」ドラッカー
(ダイヤモンド社)
※経営学の古典中の古典。全てのビジネスパーソン必読の書!
(新潮文庫)
※いわゆる「もしドラ」。ドラッカー初心者はこちらからでも!
【どんな本?】
現代経営学の巨匠ドラッカーが、人間がいきいきと働き、社会に貢献できる組織とは何かを深く考え、初心者向けに一冊にまとめた入門書&教科書。マネジメントの要素を論理的に分割・分類して、一つずつ丁寧に解説する。
ドラッカー初心者は、まず本書で組織マネジメントの理論的基礎を、そして「プロフェッショナルの条件」で自己マネジメントの理論的基礎を学ぶのが一般的。
経営学に馴染みのない方は、本書の代わりに漫画「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」がオススメ。本書は「もしドラ」と呼ばれ、2011年には元AKB48の前田敦子主演で映画化された。
【ドラッカーが伝えたいこと】
現代社会では、主な社会的課題は組織の手に委ねられており、組織を率いるマネージャは社会のリーダー的な階層にある。この組織に成果をあげさせるための手段・機能がマネジメントである。
マネジメントの対象は顧客や市場にとっての価値という「成果」であって、社員ではない。マネジャーは、一人ひとりの強みと知識を生産的なものとし、働き甲斐と自主性を持たせ、成果に繋げなければならない。
第36位「文明論之概略」福沢諭吉
【どんな本?】
明治初期、日本が欧米列強に伍して独立を守っていくには、理想はともかく、現実論として何が必要かを説いた渾身の一冊。まず最初に「人類の目指すべき最大の目的」としての文明の姿が語られ、福澤の大局観が炸裂する。福澤の著書の中では、最も学問的な体裁が整っていると言われている。
大局観と先見性を持って、言いにくいこともどんどんぶった切っていく福澤に、読んでいて気持ちがスカっとする一冊。慶應受験者はもちろん、教養を志す全ての人にとって「学問のすすめ」「文明論之概略」「福翁自伝」の3冊は特に必読。
【福沢諭吉が伝えたいこと】
日本は「徳」の分野では西洋に負けていないが、文明・学問・技術という「才(=智恵)」では完敗している。日本人は徳川幕府にいいように飼い慣らされてしまい、独立自尊の気概がない。
攘夷も軍拡も国体論もキリスト教も儒教も役に立たない。早急に国民が智恵を付け、西洋文明に追い付かねば、日本の独立は危うい。一国の独立など、人間の智徳からすれば些細な事柄だが、現実の国際政治の有様では、そこまで高遠な議論はできないのだ。
第37位「星の王子さま」サン・テグジュペリ
【どんな本?】
全世界で8000万部以上発行されたベストセラー小説。「大切なものは、目に見えない」「大人は最初、誰でも子供だった」というフレーズで有名。故郷の星を離れて地球にやってきた小さな王子さまを通じて、人間同士の絆の大切さを訴える。
「本当に大切なものを大切にしていない」大人達がたくさん登場するので、読者は「自分はそうなっていないか」と自省しながら読むことができる。忙しい日々に疲れた時に、自分を見つめなおすことができる一冊。主人公の王子さまの、少し生意気で、しかしそれで際立つ純真さが強く深く胸を打つ。
【サン・テグジュペリが伝えたいこと】
大人は目の前の「やるべきこと」や「損得勘定」に囚われ過ぎていて、自分にとって本当に大切にすべき人や物事に対して、十分な時間と関心を振り向けられていない。
忙しい大人たちよ、一度立ち止まって、自分にとって何が大切なのかを考えてみるべきではないだろうか。大切なものができると、世界はより美しく、楽しく見え、自分はより幸せになれる。さあ、子供のころの純粋な心を取り戻そう。
第38位「ニコマコス倫理学」アリストテレス
【どんな本?】
万学の祖アリストテレスが「善く生きるためには何をすべきか」を突き詰めた実学の書。歴史上初めて「倫理学」を体系化した書としても知られる。プラトンのイデア論(観念論)やエロス論(完全への渇望)に対するアンチテーゼでもある。
本書で示される「徳は科学ではないので定量化できないが、両極端の間のどこかに存在する」という「中庸」の考え方は、東洋の釈迦や孔子も言及していることで有名。2500年の歴史を乗り越えて受け継がれてきた普遍的かつ不変的な人生の要諦であり、基礎的教養の一つとして学んでおくべき。
【アリストテレスが伝えたいこと】
「人はどう生きるべきか」という幸福・道徳・倫理に関わる分野は(数学や天文学と異なり)何らかの法則が普遍的に当てはまるということはなく、「大抵において成り立つ」くらいの程度で理解した方がよい。明確なイデア(理想)など存在しない。
それ故、理論研究には意味が無い。自らの努力によって得た「徳(人格)」を実践し、「最高善」を目指すことこそが、人生の究極の目的である「幸福」をもたらす。
幸福が究極の目的である理由は、私たちが幸福を望むのは幸福それ自体のためであって、決して他のためではないからである。人間の幸福は、快楽・財産・名誉からはもたらされない。何故ならそれらは単に幸福を得るための手段であって、目的ではないからだ。
第39位「プロフェッショナルの条件」ドラッカー
【どんな本?】
現代マネジメント思想の巨人ドラッカーが、これまでの著作から「自己成長」や「自己実現」に関するエッセンスを抜き出し加筆・削除・修正した「ドラッカーによるドラッカー入門書」。
自らの業務範囲を限定した「ジョブ型雇用」が広がり始めた今こそ、ドラッカーの主張する「ゼネラリスト型人間」のあり方にも耳を傾けたい。ドラッカー初心者は、まず「マネジメント」で組織マネジメントの理論的基礎を、本書で自己マネジメントの理論的基礎を学ぶのが一般的。
【ドラッカーが伝えたいこと】
現代は知識社会で、専門知識が価値の源泉になっているが、それらを統合するには人間力全般の向上が欠かせない。目の前の事象を、自らの座標軸の中で正しく位置付けられるようなゼネラリストこそ、この知識社会では必要になる。
そのためにはまず、自己をマネジメントすることだ。常に理想を追い求め、高い志を持ち、自分の強みを特定の分野に集中して成果を出す。最終的には「自分は何によって憶えられたいか」を意識しなければ、人生を無駄にすることになる。
第40位「超入門 失敗の本質」鈴木博毅
【どんな本?】
歴史的名著「失敗の本質~日本軍の組織論的研究~」の入門編。太平洋戦争開戦後の日本の「戦い方」を対象として、組織としての日本軍の失敗を分析する。「ゲームのルールを変える主体」vs「既存の土俵で戦い続ける主体」の構図は、ビジネスにもそのまま当てはまる普遍性あり。
【鈴木博毅が伝えたいこと】
旧日本軍が太平洋戦争に負けた主要因は、次のような点である。
・大戦略が欠如していた
・既存の枠組みにとらわれ、ルールチェンジに対応できなかった
・空気を読みあうような硬直的な組織だった
・大本営と現場の距離が遠かった
第41位「福翁自伝」福沢諭吉
【どんな本?】
明治の大思想家、福沢諭吉の自伝。福澤の口述を新聞記者が文字に起こして連載した、明治版「私の履歴書」全15編。
西洋の「フランクリン自伝」と並ぶ自伝文学の名著中の名著。長崎からの脱出、学問への没頭、渡米、暗殺未遂など、一瞬たりとも読者を飽きさせない福澤の筆力に脱帽させられる一冊。慶應受験者はもちろん、教養を志す全ての人にとって「学問のすすめ」「文明論之概略」「福翁自伝」の3冊は特に必読。
【福澤諭吉が伝えたいこと】
私は昔から身分制度や因習を非合理だと思っていた。自分は下級武士だったので、金も権力も全くなかったが、学問一つで世の中に貢献できるまでになった。幕府の門閥制度鎖国主義は嫌いだが、勤王家は幕府以上の鎖国攘夷だから、じっと中立独立を決め込んでいたのだ。
好き!→お酒、タバコ、運動、独立、勉強
嫌い!→攘夷、封建制度、儒教、借金、役人、血
第42位「こころ」夏目漱石
【どんな本?】
明治の文豪 夏目漱石後期の作品。私が慕う「先生」が、一人の女性を巡って親友Kを裏切った過去を悔んで、自身も自ら命を絶つ物語。人の孤独や生きにくさを描き出す。
日本における小説分野の最高峰。日本の文庫本の発行部数では歴代第1位。新聞に連載されていたため、一つ一つの章が短く、テンポよく読める。「美しい日本語」の教科書のような、漱石文学の最高傑作。
【夏目漱石が伝えたいこと】
儒教、封建制、武士道といった忠義・道徳・禁欲等を尊ぶ「前近代的な精神」は時代遅れとなり、今後は他人の欲するものをそのまま欲するような個人主義・資本主義的な時代に変化していくだろう。
第43位「代表的日本人」内村鑑三
【どんな本?】
明治の初めに、日本における代表的なリーダー&インフルエンサーを、聖書との比較で欧米列強に紹介した「徳に基づく日本型リーダーシップ論」。代表的日本人として「西郷隆盛」「上杉鷹山」「二宮尊徳」「中江藤樹」「日蓮」の5人を挙げる。
「日本人の根底に流れる美意識」を理解する上で、同じ明治時代に英語で出版された「武士道」及び「茶の本」と並んで必読の書とされる。アメリカ元大統領ジョン・F・ケネディも愛読。ある日本人記者から「日本で一番尊敬する政治家は」と質問されたケネディは「Yozan Uesugi」と答えて日本人を驚かせた。
【内村鑑三が伝えたいこと】
欧米の皆さん!日本にもこんなに素晴らしい「徳に基づくリーダー」がいますよ!どうか分かってください!
第44位「ブッダのことば(スッタニパータ)」釈迦
【どんな本?】
数ある仏教の経典の中では最古であり、釈迦の思想を最も正確に後世に伝えるとされる経典集。スッタは「経」、ニパータは「集まり」の意味。仏教思想の源泉を知るのに最適の一冊。
東洋における教養の教科書。後世への影響は計り知れない。どのような教養を身に付けるにせよ、東洋人である限り、本書と「論語」は必読の入門書。現在の仏教の教義は複雑だが、釈迦が語った仏教の神髄は非常にシンプルなので、すっと心に落ちてくる。
【釈迦が伝えたいこと】
あらゆる現象や物質は独立した実体を持たず、無限の関係性の中で絶えず変化する。財産・名誉・健康・愛する人との関係等々、確かなものなど一つもない。
自己を制御し、あらゆるものへの執着、すなわち煩悩を捨て、極端を避けて中道を生きる者は、その言葉・心・行為によって苦悩から離れ、永遠の輪廻地獄から脱し、不死・平安・不滅なるニルヴァーナ(涅槃)の境地に達することができる。
※現代の大乗仏教にみられる偶像崇拝や祈祷・念仏の類について、釈迦は一切語っていない
第45位「経営者の条件」ドラッカー
【どんな本?】
「自分自身のマネジメント」を解説したピーター・ドラッカーの代表作の一つ。ドラッカー入門者は、まず、ドラッカー自身が自著の中から「成長」や「自己実現」に関するエッセンスを抜き出した「プロフェッショナルの条件」を読み、さらに関心を持った場合に本書を読むのが最適。
【ドラッカーが伝えたいこと】
エグゼクティブ(経営者、知的労働者、マネージャー)の仕事は成果をあげることであり、その能力は後天的に修得できる。
時間を有効に使い、常に目的を意識し、自分と周囲の強みを活かし、最も重要なことに集中することが成果に直結する。
知識やスキルは重要だが、エグゼクティブの自己開発とは、真の人格の形成でもある。成果をあげることができるエグゼクティブは、知識や作業に留まらず、人格を形成し、自らの使命を認識することで、組織への貢献と自己実現の双方を実現するようになる。
第46位「ガリア戦記」カエサル
(岩波文庫)
※歴史・リーダー論・心理学・語学など、あらゆる観点から必読の古典!
【どんな本?】
ガリア征服戦(BC58-)に関するユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)から元老院への戦況報告。ガリア総督としての戦果・リーダーシップ・正当性を簡潔かつ客観的に綴る。
カエサルの伝記、リーダーシップ実践論、ガリア戦の軍記、ラテン語文章の模範、いずれの側面でも最高クオリティの必読古典。人間臭いカエサルの自尊・興奮・不安・落胆・憔悴・辛抱・諦念・憤怒といった心の動きにも要注目。
【カエサルが伝えたいこと】
ローマの人々よ、ガリア総督に任じられた私(カエサル)は、類まれなるリーダーシップを発揮して、ガリアを平定しているぞ!
第47位「エミール」ルソー
【どんな本?】
ルソー思想の集大成であり、教育学の古典中の古典。少年エミールがソフィーと結婚するまでの25年を「私」が見守り、助言し、文明社会によってゆがめられない自然人の理想を目指して指導するという哲学・道徳・教育小説。
『社会契約論』が民主主義を担保する制度論である一方、本書は民主主義を担保する教育論とも言える。
「近代教育学のバイブル」として、教育に携わる人にとっては必読。加えて、お子さんを持つ全ての方にもおすすめ出来る教育論の定番。ルソー自身は「私の最も価値のある最良の書」「20年の省察と3年の執筆の成果」と評価。ドイツの大哲学者カントが、時間を忘れるほど熱中して読んだことでも知られる。
【ルソーが伝えたいこと】
子供とは「未熟な大人」ではなく、「子供」という自然の存在である。また、せっかく子供は「善い」存在で生まれてくるのに、社会が人間を堕落させる。よって、大人は子供を文明社会の悪影響から守りつつ、自然の発育段階に応じて教育するべきである。
誕生から15歳くらいまでは、理性も道徳も理解できないのであるから、まずは自分自身のために生きる「自然人」として教育すべきである。一方、分別の付く年齢に達したら、他者に対する思いやりや共感能力を育てる「社会人」として育てればよい。
また、子供には以下3種類の先生によって教育されるべきである。 ①自然(人間の先天的な能力や知性を引き出す教育) ②人間(親や教師による教育) ③事物(経験から学ぶ教育)
このようにして教育を受けた子供が、自由・平等を基本理念とする民主主義社会を担う人材となっていくのだ。
第48位「平家物語」作者不詳
【どんな本?】
平氏の栄華と没落、そして源氏の台頭を主題とした軍記物語。鎌倉時代に原型が完成。「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」の書き出しでも有名。前半では平清盛を中心とした平家の興隆と繁栄、後半では平家の都落ちと壇之浦での敗戦・滅亡までが描かれる。
よく「平家物語は軍記もの」「源氏物語は宮廷もの」と区別されるが、どちらも「栄華に驕れる者の没落」「因果応報」「無常観」といった仏教的要素が通奏低音として流れており、日本人としてはどちらも読んでおきたい古典の傑作。
【本書が伝えたいこと】
あれだけ繫栄した平氏も、権力や奢侈に溺れてしまい、数十年で滅亡することになった。源氏側でさえ、義仲や義経のように、その権力に驕った者は落ちぶれていった。
世の中に永遠などなく、常に変化し続ける。源平合戦はそのような世の道理をよく表している。
第49位「茶の本」岡倉天心
【どんな本?】
明治の中頃、「茶道」を主題に、「日本人の高い精神性」「謙虚さ」「自然とシンプルさを愛する東洋的な心」を欧米に紹介した日本の文化論。
「日本人の根底に流れる美意識」を理解する上で、同じ明治時代に英語で出版された「武士道」及び「代表的日本人」と並んで必読の書とされる。欧米人にも大きな反響をもたらした一冊。
【岡倉天心が伝えたいこと】
アジアで生まれた茶の文化は、全世界に敬意を持って受け入れられた、唯一の東洋の儀礼である。茶という面において、東洋は明確に西洋より優れている。
茶の文化は、質素さ、謙虚さ、繊細さなどに価値を置くという面で、日本人の精神に深く影響を与えているのだ。
第50位「言志四録」佐藤一斎
【どんな本?】
幕末の儒学者佐藤一斎が、数十年にわたって書き継いだリーダーシップ論であり、指導者のバイブル。「人が自分にどのような態度・反応を示すかは、全て自分の心が整っているか否か次第である」といった箴言が多数並ぶ。
西郷隆盛が島流しに遭っている間に本書を抜粋し、西南戦争で敗死するまで肌身離さず持ち歩いたほか、吉田松陰、坂本龍馬の愛読書でもある。また、西郷による抜粋版を献上された明治天皇は「朕は再び朕の西郷を得たぞ!」 と叫んだと言われている。明治維新の巨人を生んだ思想的背景が理解できる一冊。
【佐藤一斎が伝えたいこと】
災いは下からではなく、上から起こる。リーダー自身が徳を身に付け、自らを制御し、常に前向きに、情熱を持って部下を導かなければならない。