【人事部長の教養100冊】
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第76位~第100位

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第76位「方丈記」鴨長明

【どんな本?】

枕草子、徒然草と並ぶ日本三大随筆の一つ。「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」という書き出しで有名。この世の無常と生きづらさ、そして世俗を離れた自身の生活を生き生きした文体で著すが、最後には「悟りきれない」自分を反省する。

面白いことに、古代ローマ皇帝アントニヌスも著書「自省録」の中で「すべての存在は絶え間なく流れる河のようであって、その活動は間断なく変わり、その形も千変万化し、常なるものはほとんどない」と鴨長明と全く同じことを言っている。両書を読み比べて「諸行無常」の思想を学ぶのもおすすめ。

【鴨長明が伝えたいこと】

世の中に確実なものなど一つもなく、都での生活・社会的地位・財産・人間関係等にあくせくと執着するのは愚かなことである。

だから私は世俗を離れ、狭い庵で質素かつ自由気ままに暮らしたのだが、それもそのような生活に執着していただけであった。人生とは何とも悟りきれず、難しいものだ。

要約&学びのポイント解説

第77位「遺伝子の社会」ヤナイ

【どんな本?】

最新の進化生物学研究の成果を背景に、遺伝子たちが生存への闘いの中でどのように協力・競争しているかを包括的に展望する。

遺伝を中心とする進化生物学の視点から、人間とは何か、生きるとは何かについて改めて考えさせられる一冊。「日本人とドイツ人よりも、アフリカの部族間ほうが遺伝的な距離が遠い」といった興味深い科学的事実も語られる。

【ヤナイが伝えたいこと】

リチャード・ドーキンスは著書『利己的な遺伝子』で「生物とは遺伝子と呼ばれる利己的な分子を保存するべく盲目的にプログラムされたロボット機械である」と主張した。

この概念はさらに押し進めることができ、遺伝子は将来の世代における優位を巡って、相互に作用し、激しく競い合い、協力し合っており、それは「遺伝子の社会」と呼べるほどである。

要約&学びのポイント解説

第78位「プラグマティズム」ジェイムズ

【どんな本?】

「世の中には絶対的真理が存在する」という哲学的抽象論に終止符を打ち「現実生活で実際に役立つかどうかが、理念や概念の真偽を決める」とするアメリカ的実用主義のバイブル。

論理や思考を積み重ねて真理に至るヨーロッパ的思想でも、人間としてあるべき姿を経験から導く東洋的思想でもない、まさにアメリカ的功利主義を理解するために必読の定番教科書。思考の幅が必ず広がる一冊。アメリカという国や国民性を理解する上では、本書、「アメリカにおけるデモクラシーについて」「フランクリン自伝」の3冊は必読。

【プラグマティズムとは

簡単に表現するなら「形而上学的で抽象的な理念論を排し、現実世界でどれだけ有用であるかをもとに、ある概念が正しいか否かを判断する」という哲学。「唯一の真理を追求するのをやめる」「現実世界で役に立たない概念は、何らの意味も持たない」とする。

方法Aと方法Bがあった場合、事前にどちらが観念的に正しいかを議論しても結論は出ない。現実生活で、より報いてくれる方法が正しいとするような考え方。例えばキリスト教が正しいかどうかは、それを信じた人が幸福な人生を送っているかが決める。

ダーウィンの進化論(1859年)やニーチェの「神は死んだ」の宣言(1882年)で、唯一絶対の神や真理に対する信頼が揺らぎ、科学vs神学の論争に発展した19世紀後半に誕生した。

当時のアメリカでは社会の多様化が進んでおり、「常識」でも「哲学」でも「科学」でもなく、普遍的に共有できる価値観(=プラグマティズムの場合は有用性)が求められる土壌にあった。

要約&学びのポイント解説

第79位「善の研究」西田幾多郎

【どんな本?】

「哲学」という概念がなかった明治日本において、論理重視の西洋思想と自身の禅体験を融合し、主観・客観が分離する以前の原初的な「純粋経験」を実在とするという独自の立場を創造した、日本最初の哲学書。

カントの純粋理性批判と並び、とにかく「難しい」と言われるいわくつきの骨太本。しかし、西洋思想と東洋思想の融合に挑戦した日本初のオリジナル哲学は、思考や教養の幅を広げること間違いなし。本サイトでは、詳細な注釈と解説がついた講談社学術文庫版(小坂国継注釈)をオススメする。

※第3編「善」・第4編「宗教」が西田の言いたいこと、第1編「純粋経験」・第2編「実在」が西田哲学の理論的基礎となっているので、第3編から読むと読みやすい(西田自身も第1編は省略してよいと言っている)

【西田幾多郎が伝えたいこと】

善とは一言でいえば「人格の実現」である。人間の本性及び宇宙の統一原理は同一であって、そこには後天的な知識や判断の影響を受けない普遍的な「意志」が存在する。その意志を実現することが人格の実現であり善の実践である。

「この世界がどうあるか」「人間はどう生きるべきか」という実在を知るには「純粋経験(≒直感)」が必要であるという点は西洋哲学的(イギリス経験論)であるし、その究極が「知的直観(≒自分と宇宙が一致する梵我一如)」であるという点は東洋哲学的(ウパニシャッド哲学)である。

要約&学びのポイント解説

第80位「重職心得箇条」佐藤一斎

【どんな本?】

幕末の儒学者佐藤一斎による「リーダーの心構え17箇条」。「リーダーたるもの、部下の能力が足りなかったり、人物的に好かなかったりしても、気持ちよく仕事をさせるように努めなければならない」など、現代のマネジメントにも通用するリーダーシップの本質を、簡潔にスバスバと示していく。

西郷隆盛、勝海舟、坂本龍馬など幕末の英雄たちを奮い立たせたほか、小泉内閣では首相から全閣僚に配布された。そのリーダーの必読書を、昭和の知の巨人安岡正篤が解説するという、二重に必読の一冊。

【佐藤一斎が伝えたいこと】

リーダーに必要なことは、主に以下の5点である。

①常に大局を見る余裕を持ち、冷静沈着さと大きな度量を兼ね備える

②仕事が出来なかったり気に入らなかったりしても、部下を信用して仕事を任せ、褒めるべきは褒め、指導すべきは指導し、能力が発揮できる環境を整える

③仕事の重要度と緊急度を正しく見定め、関係者間で情報を共有し、本当に重要な仕事だけを、無駄を省いて効率的に進める

④問題の細かいところに入り込まず、広い視野で多角的に、高い視座で長期的に、深い思考で合理的に判断を下す

⑤時代の大きな流れに逆らわず、古い慣習に縛られず、その時の状況に合わせて柔軟に考え方を変化させる

要約&学びのポイント解説

第81位「孫子」孫武

【どんな本?】

クラウゼヴィッツ『戦争論』と並ぶ兵法書の最高峰。世界最古にして世界最強の異名をとる。戦いに勝つには、あるいは負けないためにはどうするべきかが端的に書かれているが、単なる戦争論ではなく、深い洞察に基づいた人間論に仕上がっている。

原文はわずか6,000字に過ぎないが、2500年以上の時を超え、ビル・ゲイツや孫正義も愛読。武田信玄の「風林火山」も、出典は本書。日本人が弱いとされている「戦略」に関する教科書として、現代のマネジメントに活かしたい人には最適の一冊。

【孫武が伝えたいこと】

戦争の本質は、情勢分析と詭道(だまし討ち)である。戦い方を知っている人だけが、思い通りに事を進められる。

自軍と敵軍の状況を的確に分析・比較すれば、事前に勝敗は分かる。また、戦うにしても、戦争は莫大なコストがかかるため、その後の国家運営を考えれば、自軍の損害は最小化すべきである。そのためには詭道を駆使することを避けて通れない。

要約&学びのポイント解説

第82位「福翁百話」福沢諭吉

【どんな本?】

福澤諭吉が1896年から1897年にかけて新聞「時事新報」に連載した100のエッセイ集。自宅に来た客人に対して話した数々の「生き方論」を福澤自身が文字に起こしたもの。

論客福沢諭吉が、世の中の森羅万象を斬りまくる。内容もさることながら、文章の全体構成、論理性、テンポ、比喩表現など「分かりやすい文章のお手本」にもなり得る。教育について数多く振られているので、慶應幼稚舎・慶應横浜初等部を受験する親御さんは必読では。

【福沢諭吉が伝えたいこと】

人類の歴史は浅く、文明も人間の知徳も甚だ不十分である。しかし、少しずつ前進していることは間違いない。

遥か宇宙から見れば、今を生きる人類など小さな存在ではあるが、学問をし、社会的にも経済的にも独立し、健康に留意し、他人と調和して懸命に生きて文明を前に進めることは尊く、人間にしかできないことである。

中でも教育は大切である。 学校で学問を修めて社会に出ることは、武術において基本的な「型」を学ぶことに等しいのだから、貴賤・貧富・男女にかかわらず、子供には金を惜しまずに教育を施すべきだ。ただし、人の能力はある程度遺伝で決まるのだから、生まれ持った能力を全て正しく開花させるのが教育であると心得るのが正しいだろう。

人付き合いにおいては、完璧な人間など存在しないことを肝に銘じ、自らの品格と教養を磨きつつ、他人の欠点は咎めず磊落に受け入れるくらいの度量が必要である。

要約&学びのポイント解説

第83位「歎異抄」唯円

【どんな本?】

浄土真宗の開祖親鸞の死後、信徒の間に種々の「異」説が出たことを「歎」いた弟子達が、正しい教義を示すために編纂した「抄(=注釈書)」。「悪人こそ救われる!」「親の供養なんかしないぜ!」など、既存の仏教や道徳をぶち壊すロックで過激な教えを展開する。書名の読み方は「たんにしょう」。

西田幾多郎、吉川英治、遠藤周作といった数多くの思想家に影響を与えたほか、司馬遼太郎をもってして「非常にわかりやすい文章で、読んでみると真実のにおいがする」「無人島に1冊の本を持っていくとしたら『歎異抄』だ」と言わしめた仏教界の異色の名著。宗派・宗教の枠を超えて広く読み継がれる日本の名著

【唯円が伝えたいこと】

末法思想の世の中で、戦乱や疫病も流行っていますが、一般大衆の皆さん、ご安心ください。善人だろうと悪人だろうと、阿弥陀仏に頼って「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えれば、厳しい修行をしなくても、極楽浄土に行けますよ。

人が善人になるか悪人になるかは、前世からの因果で決まっているのです。だから「自分は善を積んでいるから浄土に行けるだろう」などと考えるのは間違いです。むしろ、全てを阿弥陀仏に頼り切れる悪人の方が極楽浄土に行けるのです。

ただし、だからと言って進んで悪事を働くようなことをしてはいけませんよ。ただひたすら、念仏を唱えさえすればよいのです。

要約&学びのポイント解説

第84位「思考は現実化する」ナポレオン・ヒル

【どんな本?】

鉄鋼王カーネギーから依頼を受けた*筆者が、成功者に共通する資質や行動を20年かけて「17のゴールデンルール」に体系化した成功哲学本。1937年の刊行以来、世界で1億部以上売れたと言われている歴史的大ベストセラー。

*カーネギー側はこの事実を認めていない

若干精神論に偏った記述も見られるが、「17のゴールデンルール」には、時代や社会背景を超えた普遍的な成功パターンが含まれており、自己啓発本の古典的名著と言って差し支えないクオリティと言える。

【ヒルが伝えたいこと】

具体的な目標とそこに至るプロセスを何度も何度も「思考」することによって、その目標は「現実化」する。これまでの成功者は、共通して「正しいマインドセット」「正しい行動」「正しい人間関係」に関する17個のルールを実践していた。

要約&学びのポイント解説

第85位「活眼活学」安岡正篤

【どんな本?】

昭和を代表する知の巨人「安岡正篤」の呼び掛けによって結成された「全国師友協会」の機関誌に安岡自身が投稿した論考集。東洋思想をベースに、物事を「長期的」「多面的」「本質的」に理解する手法を説く。

西洋では概念的・論理的な思惟を尊び、東洋では深い直観を含んだ智慧を尊ぶ。これらを融合・発展させることが重要」というフレーズに安岡哲学の神髄が見える。本書のほか「運命を創る」「人物を修める」の3冊をまとめて読むと、安岡の思考・思想を網羅的に追体験できる。

【安岡正篤が伝えたいこと】

西洋では自然と人間を対立関係と捉え、人間、その中でも自分こそが最も大切な存在であると考える。一方、東洋の思想では、自然の摂理の中で、天から与えられた能力を完全に発揮し、同時に道徳を実践していくことこそが、人間の生きる意味と考える。

目の前で起きていることに一喜一憂せず、長い目で見て、正義を守り、徳を積むべきだ。

要約&学びのポイント解説

第86位「歴史入門」ブローデル

【どんな本?】

歴史を史実の羅列ではなく、3つの時間軸(地理的(長期)、社会的(中期)、個人的(短期))と3つの階層(日常生活、市場経済、資本主義)で捉え、歴史学に変革をもたらしたブローデルの入門書。

年号暗記に慣れ親しんだ日本人には、目からウロコの歴史解釈が続く。ブローデルが提唱した「長期の地理的時間軸」で書かれた大ベストセラーが、ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」と言える。歴史に関心のある人にとっては、E・H・カーの「歴史とは何か」と並ぶ必読書。

【ブローデルが伝えたいこと】

歴史は、瞬く間に過ぎていく個人史及び出来事史という「短期」、ゆっくりとリズムを刻む社会史である「中期」、最も深層において、ほとんど動くことのない自然や環境、構造という「長期」があり、特に「長期」を重視すべきだ。

例えば産業革命も、それ単体で見るのではなく、その下層部にある日常の経済生活や市場経済、周辺部にある奴隷制や農奴制等の在り方など、産業革命に至る長期的流れと合わせて把握すべきである。

要約&学びのポイント解説

第87位「人生論ノート」三木清

【どんな本?】

京都学派の哲学者三木清が、戦時下全体主義の日本であえて「個人の幸福とはなにか」を主題に、雑誌「文學会」に連載した人生論。幸福のほか、成功・希望・虚栄・嫉妬・死などの普遍的なテーマについて語られる。

戦後すぐにベストセラーとなり、新潮文庫版は現在までに100刷以上を重ねている名著。ただし、難解な表現も多く出てくるため、本書についてよく理解されたい方には、「嫌われる勇気」の著書としてお馴染みの岸見一郎が書いた「三木清『人生論ノート』を読む」(白澤社)をお勧めする。

【三木清が伝えたいこと】

日本は戦争に向かって全体主義傾向が強くなっているが、個人の希望や幸福を失ってはいけない。希望を持ち、幸福を追うことは徳そのものであり、人生そのものである。

また、個人の幸福を国家全体の目的の為に犠牲にしてはならない。各個人が、周囲に流されず、周囲に強制されず、自分の人生を主体的に描いていかなければならない。

要約&学びのポイント解説

第88位「宋名臣言行録」 朱熹

【どんな本?】

北宋時代の宰相・大臣クラスが残した箴言集。朱子学の開祖でもある朱熹が編纂。唐代の「貞観政要」と並び立つ中国古典の金字塔で、明治天皇もご愛読。王安石の新法をめぐり、新旧両世代が対立する中、悲喜こもごもの人間模様が展開される。

大きめの組織に属して仕事をしている人や、自分以外にも苦労している人がいることを知りたい人には特におすすめ。お気に入りのエピソードが必ず見つかるはず

【朱熹が伝えたいこと】

本書は、中国における正式な「宋名臣言行録」75巻のうち、朱熹自身が編纂した北宋八代150年分の24巻分から抜粋したもの。朱熹の方針により、王安石の新法(中小農商工者を手厚く保護する社会主義的政策)に反対する穏健保守派の名臣を中心に取り上げられている。

エリート同士の足の引っ張り合い、能力を正当に評価されない左遷、官僚主義者から破天荒な者まで、雑多なエピソードの寄集めであり、一貫した主張があるわけではない。

要約&学びのポイント解説

第89位「モンゴル帝国の興亡」杉山正明

【どんな本?】

膨張政策を取る国家の「あるある」がふんだんに詰まったモンゴル帝国の歴史を、単なる事実の羅列ではなく、ストーリーとして語る名作。モンゴル以外の歴史を理解するうえでも非常に役に立つ。

歴史を学ぶ上で、ローマ帝国・モンゴル帝国・イギリス帝国の興亡史は避けて通れない分野。モンゴル帝国は、キリスト教国、イスラム教国、中国、そして日本まで相手にしており、「次はどうなるのか!」と先が気になって読み出したら止まらない一冊。

【杉山正明が伝えたいこと】

モンゴル帝国は13世紀という時代において、陸と海にまたがる壮大な世界支配システムを構築した。

これは歴史上特異なことであるが、その本質を理解するためには、ヨーロッパや中国の視点からモンゴルを眺めるのではなく、モンゴル帝国主体の視点で歴史を見る必要がある。

要約&学びのポイント解説

第90位「人物を修める」安岡正篤

どんな本?】

昭和を代表する知の巨人「安岡正篤」による「人間学」の講演録。理性や論理といった西洋思想をもとに科学技術は発展したが、それを制御するのは徳や善といった東洋思想であるとする安岡哲学の基本教科書。

仏教・儒教・道教のうち、「徳」の涵養や「人間学」にとって有用な教えに絞って解説されている非常に密度の濃い一冊。本書のほか「運命を創る」「活眼活学」の3冊をまとめて読むと、安岡の思考・思想を網羅的に追体験できる。

【安岡正篤が伝えたいこと】

日本は四方を海に囲まれ外敵に攻められることなく、万世一系の天皇を戴いて歴史を重ねてきた。良く言えば生一本な国民性だが、悪く言えば単純で戦略性がない。

その点、中国は四方を異民族に囲まれ、人間的にはまさに老獪である。日本人は中国人、ないしは中国に源流を持つ東洋思想に学ぶべき点が多くある。

本物の学問というものは、人間学、人格の学問、叡智の学問が本体で、知識・技術の学問はそこから出て来るものである。全人格的なものでなければ、本当の学問とは言えない。元来、東洋の学問は全人格的なものだった。

要約&学びのポイント解説

第91位「原因と結果の法則」アレン

【どんな本?】

いわゆる「自己啓発本」の古典中の古典。「私たちの人生は、すべて私たちの思考や心の持ちようの結果である。まずは自分が変わりなさい」という内容を、科学的というよりは、ややスピリチュアルな語り口で説く。後世の自己啓発本に大きな影響を与えた。

「人生に偶然は一切なく、全てが必然である」といったあたりは、やや原理主義的で、アレルギー反応を起こす人がいるかもしれないが、「すべては自分次第」というメッセージは分かりやすく、現代まで読まれ続けている理由となっている。

【アレンが伝えたいこと】

私たちの思考や言動の在り方(=原因)が、私たちの人生や周囲の環境(=結果)を生み出す。この因果関係は100%確実である。この法則を理解すれば、周囲への不平や嫉妬はなくなり、心に平和が訪れる。それこそが、人生の究極の目的である。

要約&学びのポイント解説

第92位「歴史の大局を見渡す」ダラント

【どんな本?】

全11巻に及ぶ歴史書『文明の話』を著し、ピュリツァー賞を受賞したデュラント夫妻が、そのエッセンスを抽出して分析し、歴史から学べる教訓をまとめたもの。政治・経済・戦争・宗教等のテーマを中心に、人類の歴史を巨視的に俯瞰する。

例えば1968年の時点で「平和な時代が30年も続けば、社会主義・共産主義は維持できなくなるだろう」とソ連の崩壊(1991年)を見据える卓越した歴史観が示されるような、洞察に富んだ名著。

【ダラントが伝えたいこと】

歴史を「巨視的に」見ると、現在の世界の状況や将来の見込み、人間の性質、国家の行動について理解が進む。人類は現在も多くの問題を抱えているが、過去の文明がもたらした豊かな遺産を受け継ぎ、新たな文明を築き、次代に伝えているという点においては、進歩していると言っていいだろう。

目下進行中の「資本主義vs共産主義」については、以下2つを心得て制御すべきである。

・経済力が平均以下の者だけが平等を求め、自分の優れた能力に気づいている者は自由を求める。
・経済力や能力が平均以下の人間は、宗教で慰めを得るか、共産主義で平等を求めるかのどちらかだ。

要約&学びのポイント解説

第93位「人体600万年史」リーバーマン

【どんな本?】

なぜ人類は体に悪いと知っていながら、糖や炭水化物を過剰摂取したり、運動を怠ったりするのか。その原因を「人類の生物的進化が文化的進化に追いついていないから」とした上で、進化生物学から考えられる医療・財政政策を提言する。

他にも進化生物学の見地から、例えば「人間はより多くの子孫を残すために適応を繰り返してきた(例:心配性な種が生き延びてきた)のであって、必ずしも肉体的・精神的な幸せを促進するようには進化していない」といった知見も得られる、科学方面に教養を広げられる良書。

【リーバーマンが伝えたいこと】

人類は進化の過程で、環境の変化に自らを適応させてきた。例えば、栄養は取れる時に出来るだけ取って、脂肪として蓄えられるような個体が自然淘汰を勝ち抜いてきた。

しかし、現代の科学技術の急速な発展により、自然選択のペースと影響力を文化的進化のペースと影響力がはるかに上回ってしまい、人類は取りたいときに取りたいだけ栄養を摂取できるようになってしまった。この状況が糖尿病や心疾患といった進化的ミスマッチを生んでいる。

このミスマッチは、人類が健康的な生活様式を自ら選び取るようには、まだ進化しきっていないことから生まれる。現在の報酬(いまここでクッキーをもう一枚)をつねに遠い未来の報酬(年をとったときに健康でいられる)と比較して、報酬の価値を遅延の長さに応じて割り引くようなことをしてしまうのだ。

それを是正するには、政府が炭酸飲料やジャンクフードに重税を掛けたり、添加物情報の開示を義務付けたりするなど、人々の環境や行動自体を柔らかい強制力を持って変えていくしかないだろう。

要約&学びのポイント解説

第94位「徒然草」兼好法師(吉田兼好)

【どんな本?】

枕草子、方丈記と並ぶ日本三大随筆の一つ。「つれづれなるままに、日暮らし、硯に向かひて」の書き出しで有名。全244段。鎌倉時代的な「無常観」が通奏低音として流れるが、テーマは都での処世術から理想の生き方まで多岐にわたる。

日本中世を代表する知識人である兼好法師により、人生に関する深い洞察や、鋭い人間観察眼が展開されるが、一部、兼好の主観が爆裂している(結婚はしない方がいい、女は底意地が悪い等々・・・)もあり、楽しみながら読むことが出来る古典の名作。

【兼好が伝えたいこと】

世の中は無常であり、何かに執着するような人生ではいけない。人間はいつか死ぬのだから、様々なしがらみを捨て、今この瞬間を大切にし、本当に自分が生きたいような人生を生きなければならない。

要約&学びのポイント解説

第95位「伊勢物語」作者不詳

【どんな本?】

和歌を中心にストーリーが展開する「歌物語」ジャンルの代表作。平安時代に成立したが、その経緯や作者は不詳。平城天皇の直系であり、世が世なら天皇になっていたかもしれない在原業平(とされる主人公)が、政治権力から離れた雅な世界で、数々のスキャンダラスな恋愛を展開する。

軽はずみなワンナイトから、神聖なる巫女さんと恋に落ちてしまう段、好きでもない熟女を抱く段まで、ラノベのような感覚でスラスラ読める。哲学的思索に耽る場面は少なく、ひたすら雅で風流な世界が歌とともに展開される中世日本を代表する素敵な古典。

著者が伝えたいこと】

在原業平は、権力の面では藤原氏に押されっぱなしだったものの、風流で恋多き人生を送った。

中でも業平が本気で愛した「藤原高子(後の清和天皇の后)」は受け身で流されやすい女性であったし、同じく業平が愛した「恬子(伊勢斎宮)」は禁を犯しても業平に会いに行く強い女性だった。

好対照の二人であるが、どちらも身分の異なる禁断の恋物語であり、人々の関心を集めている。

要約&学びのポイント解説

第96位「ユダヤ人の歴史」シェインドリン

【どんな本?】

紀元前6世紀にユダ王国を滅ぼされて以降、国家というものを持たず、ユダヤ教のみでアイデンティティを繋ぎ、現代でも大きな影響力を持っているユダヤ人の歴史を概観する。

全人口のわずか0.2%程度のユダヤ人が、世界で大きな影響力を保持しているのか。現代の国際社会を理解する上でも、ユダヤ民族に対する理解は必須。世界史通史は卒業し、個別の重要テーマを通じて、現在起きていることを理解したい人に特におすすめの一冊。

【シェインドリンが伝えたいこと】

ユダヤ人は大きな民族の中の少数派以上の立場を持たなかったため、その歴史を詳述するのは困難である。しかし、ユダヤ人の永続性やその多様性は注目に値する。

約2500年前に祖国を失ったユダヤ人は、中東・ヨーロッパ・北アフリカ、そして近代ではアメリカ大陸に離散し、概ね差別・迫害されていたが、その人的ネットワークや知的資源、金融資産等をもとに、大きな影響力を行使したケースもある。

私(=著者)はユダヤ人であるが、自分達が種々の伝統を維持しながらも、それぞれの国家や文化に適応しつつ、しかも互いに影響しあってきたことに関心を持っている。歴史を学ぶものは、より広い視野を手に入れるために、様々なテーマに関心を持つべきだ。

要約&学びのポイント解説

第97位「アンダルシーア風土記」永川玲二

【どんな本?】

古代からキリスト教・イスラム教・ユダヤ教がせめぎ合った民族の交差点「アンダルシア地方(スペイン南部)」のダイナミックな歴史を概観する。

特に15~18世紀の世界史に大きな影響を与えたラテン系民族が持つ「陽気さ」と「いい加減さ」と「残虐性」の歴史的背景を体系的に知ることができる一冊。世界史通史を卒業し、テーマ史に関心を持っている人に特におすすめ。

【永川玲二が伝えたいこと】

アンダルシアは民族の交差点である。東西軸はエジプト・エーゲ海から大西洋へ。南北軸はアフリカからジブラルタル海峡を経てピレネー山脈へ。この地だからこそ、異文化を鷹揚に受け入れるオープンマインドな文化が成立した。

要約&学びのポイント解説

第98位「昨日までの世界」ダイアモンド

【どんな本?】

人類の祖先が約600万年にわたり送ってきた生活の特徴が残る「伝統的社会」の人間関係・紛争解決・子育て・高齢者対策・宗教・病気対策・政治などを理解することで、最近1万年で形成された現代人間社会の特徴を浮き彫りにする。

さすが『銃・病原菌・鉄』でピュリッツァー賞を受賞した巨匠ジャレド・ダイアモンドだけあって、進化生物学や文化人類学に造詣が深くなくてもどんどん読み進められる。ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」と併せて読むと、理解が格段に深まる。

【ダイアモンドが伝えたいこと】

「伝統的社会」と「現代社会」は、それぞれの環境に応じて最適な仕組みで運営されており、連続的なものである。現代社会のもたらす恩恵も大きいが、伝統的社会から学ぶべき点も多くある。

要約&学びのポイント解説

第99位「進化は万能である」リドレー

【どんな本?】

人類が生み出してきたあらゆる文明(科学技術・宗教・文化・政府・経済など)は、生物の進化と同様、自然淘汰でボトムアップ的に形成されてきたものであると主張する。

ダーウィンの進化論を他の分野にも敷衍し、あらゆる事象は環境や人間活動による自然淘汰の結果として形成されたものとする「進化生物学」の思考軸を身に付けたい人に特におすすめ。

【リドレーが伝えたいこと】

世の中の森羅万象は、神のようなデザイナーがいるわけではなく、自然環境や人間の生存活動の結果として説明できる。

特定の神や人物がトップダウンで人類に何かをもたらした例はなく、科学技術・宗教・文化・人格・政府・経済・教育・通貨からインターネットにいたるまで、全て人類がボトムアップで作ってきたものである。

しかし人間は弱く、科学的・論理的に説明できない事象に対しては、すぐに「神」や「その他の何か」を持ち出す傾向がある。これは戒めなければならない。

要約&学びのポイント解説

第100位 100冊目は、是非ご自身で見つけてみてください!

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