AIの登場により「知識やスキル」が価値を失いつつあります。
一方「何が正しいか、何が善いか、何が美しいかを判断する基礎的教養」の重要性は、今後さらに増していくのではないでしょうか。
本を読み、人と会い、様々な経験を通じて、教養を身に付けましょう!
- 第1位「愛するということ」フロム
- 第2位「銃・病原菌・鉄」ダイアモンド
- 第3位「菊と刀」ベネディクト
- 第4位「自省録」アントニヌス
- 第5位「夜と霧」フランクル
- 第6位「幸福論」ヒルティ
- 第7位「これからの「正義」の話をしよう」サンデル
- 第8位「サピエンス全史」ハラリ
- 第9位「人を動かす」カーネギー
- 第10位「論語と算盤」渋沢栄一
- 第11位「生き方」稲森和夫
- 第12位「善悪の彼岸」ニーチェ
- 第13位「幸福について」ショーペンハウアー
- 第14位「武士道」新渡戸稲造
- 第15位「幸福論」アラン
- 第16位「道をひらく」松下幸之助
- 第17位「貞観政要」太宗
- 第18位「嫌われる勇気」岸見一郎
- 第19位「人生の短さについて」セネカ
- 第20位「学問のすすめ」福澤諭吉
- 第21位「君たちはどう生きるか」吉野源三郎
- 第22位「ユートピア」トマス・モア
- 第23位「君主論」マキャヴェリ
- 第24位「国家」プラトン
- 第25位「戦略的思考とは何か」岡崎久彦
第1位「愛するということ」フロム
【どんな本?】
「愛とは自然に発生する感情ではなく、幸福に生きるための技術であり、学ぶことができる」「生まれながらに愛するということを出来る人はいない」「愛の技術を習得するには練習と努力が必要」「ほかの人を愛するには、まず自分自身を愛さなければならない」と説く、実践的な愛の哲学。
あなたは大切な人を「能動的に」愛することができていますか?愛されることばかりを考えていませんか?普段あまり意識することのない「愛」について、深く考える機会となる必読の一冊。
【フロムが伝えたいこと】
愛とは自然に発生する感情ではなく、その人の意思であり技術である。愛とは、自分が「意識的に」相手を尊重し、その生命と成長を積極的に気にかけることであって、自分自身と相手が一体になることである。
相手を愛するためには、まず自分自身の人生を充実させ、成熟した人格と愛を生み出す能力を備えなければならない。自分のことを愛せない人には、他の人も愛せないのである。また、フロイトのように愛を性欲の一形態と見るのは不健全である。
第2位「銃・病原菌・鉄」ダイアモンド
【どんな本?】
「なぜインカ帝国を征服したのがヨーロッパ人だったのか、なぜその逆ではなかったのか」という疑問を「単なる地理的な要因」と喝破した、地理学・言語学・進化生物学・文化人類学等の最新の学問を横断するマクロヒストリーのベストセラー。あの、ひろゆき氏も「ベストワン。まさに一生モノの本」と絶賛。
【ダイアモンドが伝えたいこと】
歴史は、異なる人々によって異なる経路をたどったが、それは人々のおかれた環境の差異によるものだ。過去500年間、世界を支配したのがヨーロッパ人であったのは、ヨーロッパ人が生物学的に優れていたわけではなく、単に以下のような地理学的要素(気候・地形等)のせいに過ぎない。
①生産性の高い穀物・家畜の存在による人口増加(栽培化・家畜化しやすい野生種はユーラシア大陸に偏在していた)
②技術・文字・政治システム等の発明・伝播と相互交流によるブラッシュアップ(同緯度帯が東西に長く大きなユーラシア大陸は人口が多く、競合する社会の数も多かったため、技術の発明や改良に有利だった)
③病原菌への耐性(ユーラシア大陸は人口稠密で人間が家畜と近い距離にいた)
第3位「菊と刀」ベネディクト
【どんな本?】
日本は「恥」の文化、欧米は「罪」の文化という綺麗な二元論で日本を論じたロングセラー本。
「外国人による日本人論」のジャンルでは定番であり、最高峰。日本人が日本人を知るうえで、必読の一冊。日本人が忘れてしまったものは何か、また、依然として日本人を突き動かしているものは何かを客観的に理解できる。
【ベネディクトが伝えたいこと】
日本人の思考・言動が欧米人にとって不可解なのは、根本にある行動規範が、以下2点に立脚しているからだ。
・他人から受けた施しをどう返すかという「恩」
・他人からどう見られるかという「恥」
つまり、行動規範に常に他人が存在する故に、その他人によって言動が相対的に変化するのである。絶対的な神や理性を信じる欧米人にはそれが不可解に見えるのだ。
第4位「自省録」アントニヌス
【どんな本?】
ローマ帝国五賢帝の一人であり、後期ストア派を代表する哲人でもあるマルクス・アウレリウスが、多忙な公務の中、ひたすら自分の内面を見つめ、戒め、己を律する言葉を綴った個人ノート。
英国の哲学者J・S・ミルが「古代精神の最も高い倫理的産物」と評すなど、数多くの学者・政治家が座右の書として挙げ、2000年にもわたり語り継がれている名著中の名著。長きにわたり人生の指針となり得る最高の一冊。
【アントニヌスが伝えたいこと】
人の為すべきことは、大きく言えば、以下2つである。
①宇宙の正道(真の心で、善きことを、美しく為すこと)に基づいて、社会に尽くすこと。
②自分の感情を理性で制御し、心の安寧を維持すること。制御できるものだけを制御し、その他(死・病気・貧困・評判・他人など)は気にしないこと。
第5位「夜と霧」フランクル
【どんな本?】
「ナチスドイツの強制収容所での生活」という自分自身が経験した極限状態を考察することで、人間の根源(生き方、モラル、真善美の判断)に迫る。
アメリカでは「私の人生に最も影響を与えた本」でベスト10入りした唯一の精神医学関係の書。欧米の知識階級で、この本を読んでいない人は存在しないのではないか、というくらい特に欧米では有名な本。
【フランクルが伝えたいこと】
強制収容所という極限状態で生き延びたのは、体の強い者でもなく、歳の若い者でもなく、明日への希望と生きる意味を見失わなかった者だ。人間がどう生きるかを決めるのも、また人間である。
第6位「幸福論」ヒルティ
【どんな本?】
ラッセル『幸福論』、アラン『幸福論』、と並ぶ、いわゆる「3大幸福論」の一つ。ストア哲学とキリスト教をベースに、「仕事と愛と理性」を通じて幸せに辿り着くための具体的手法を紹介する。人生において何を大切にすべきか、自分の中で整理できる名著。
【ヒルティが伝えたいこと】
人間の幸福の源泉は「仕事」「愛」「人格」である!
①仕事:仕事から「喜び」や「やりがい」を感じよう
②愛 :習慣的に全ての人々を愛そう
③人格:「道徳」「教養」「愛」「誠実」「健康」を実践し、「欲望」「嫌悪」「怒り」「不機嫌」を制御し、「病気」「死」「貧困」を受け入れる理性を身に付けよう
「財産」「名誉」「地位」は人を決して幸せにしないのだから、追い求めてはいけない。
第7位「これからの「正義」の話をしよう」サンデル
(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
※「トロッコのジレンマ」でもお馴染み!
【どんな本?】
ハーバード大学の超人気哲学講義“JUSTICE”で有名なサンデル教授が「正義」について語る。NHK「ハーバード白熱教室」とともに社会現象を巻き起こした大ベストセラー。
「何もしなければトロッコが5人を轢く、レバーを引けばそれが1人で済む。どうすべきか」というトロッコのジレンマをはじめとして、自由・平等・幸福・倫理等に真正面からぶつかる「正義入門書」。
【サンデルが伝えたいこと】
正義に対する考え方は大きく3つある。①功利主義(社会全体の幸福を最大にする)、②自由主義(個人の選択の自由を尊重する)、③共同体主義(社会の共通善を信じる)がそれだが、私は③の立場を取る。
ただし、「正義」を現実の政治に反映させるには、どれも一長一短あるため、政治が道徳に積極的に関与していく必要があるだろう。
第8位「サピエンス全史」ハラリ
(河出書房新社)
※「人間は昔より幸せになっているのか」という壮大なテーマに挑む
【どんな本?】
人類がいかに他の生物を優越し、現代のグローバル社会を形成してきたかを、人類史全体という長期的・巨視的な視点から俯瞰したマクロヒストリーの大作。
Facebook(現Meta)創設者のマーク・ザッカーバーグや、『銃・病原菌・鉄』の著者ジャレド・ダイアモンドも絶賛した大ベストセラー。果たして人類は大昔より幸せになっているのか?人類史をゼロから再構築した画期的な一冊。
【ハラリが伝えたいこと】
現生人類は「宗教・国家・法律」などの虚構を生み出し、それを言語で伝達するという手段を得て以降、地球の主となる。その後、紀元前1000年紀に登場した「①貨幣、②帝国、③宗教」という3つの普遍的な秩序は、世界をグローバル化する役割を果たす。
しかし、人類が以前より幸せになったかは定かではない。幸せが主観的なものならば、古代より現代の方が幸せと誰が言えるだろうか。人類は遺伝子工学等により、ホモ・サピエンスの生物学的限界を超えようとしている。私たちが問うべきは「私たちは一体何になりたいのか」ということだ。
第9位「人を動かす」カーネギー
【どんな本?】
対人関係を好転させるための具体的なテクニックがふんだんに詰まった世界的大ベストセラー。どれも、コストを掛けず直ぐに実践できる点が人気の理由。
「人との上手な付き合い方」ジャンルの最高峰であり不朽の名著。「何となく頭では分かっているけど、意外と実践できていない」対人関係スキルが、気持ちいいほど見事に可視化されている名著。全人類がこれを読めば、お互いに気持ちよく暮らせるようになる(はず)と思わせる一冊。
【カーネギーが伝えたいこと】
対人関係は、日頃からの心掛けといくつかのテクニックで必ず好転する。知っている人と知らない人では大違いだ。
対人関係の基本は、相手を尊敬すること、そしてそれを態度や言葉で示すことであり、それらは自分の利益として必ず返ってくる。
第10位「論語と算盤」渋沢栄一
【どんな本?】
日本資本主義の父、渋沢栄一が繰り出す「修正資本主義」論。西洋型の資本主義システムと、東洋型の公益・人間主義は相反せず融合できると説く。
今なお、多くの経営者や起業家に読み継がれている名著。資本主義が暴走し、格差が広がり続ける現代だからこそ、改めて読んでおきたい日本型資本主義の原点。最近では、大谷翔平の愛読書としても知られる。
【渋沢栄一が伝えたいこと】
天が示す正しくて道理のあること(=論語)と、企業が利潤を求めて活動すること(=算盤)は一致する。つまり、あらゆる企業活動は、暴利を貪るのではなく、広く社会の利益に資するものでなければいけない。
第11位「生き方」稲森和夫
【どんな本?】
京セラを設立し、破綻したJALを再生させた稲森和夫が「人間が生きる意味とは」「人間はどう生きるべきか」という哲学的命題を、誰にでも分かる言葉で明快に示した大ベストセラー。
「人生・仕事の結果=考え方(-100~100)×熱意(0~100)×能力(0~100)」を含む、とにかく読む人を前向きにさせてくれる一冊。夢の実現や、良き人格形成にむけて内面から活力が湧いてくる。サッカー元日本代表の長友佑都選手の愛読書としても有名。
【稲森和夫が伝えたいこと】
人間が生きる意味は「この世に来た時より美しい魂を持ってこの世を去ること」であり、人間のあるべき生き方は「宇宙と人間の原理である「真・善・美」を追及し、日々人格を高めて精進する」ことである。
人生・仕事の結果=考え方(-100~100)×熱意(0~100)×能力(0~100)である。熱意は後天的、能力は先天的。考え方はその人の哲学であり、方向を間違えると結果はマイナスになる。仕事にコツコツ打ち込むことは、人格形成に繋がる深淵かつ崇高な行為である。
第12位「善悪の彼岸」ニーチェ
【どんな本?】
哲学・宗教・道徳・社会システム等の既存の価値観を痛快に全否定し、「力への意志に基づき、この瞬間を高揚して生きる」ことを説いた、ニーチェのロックで過激な代表作。
ルサンチマン、ニヒリズム、永劫回帰、力への意志、超人など、ニーチェ思想の神髄がエッセイ風に語られる。ニーチェに関心を持ったら、まず「善悪の彼岸」でニーチェ哲学の要点を押さえ、その後「ツァラトゥストラ」でその世界に浸り、最後に「この人を見よ」でニーチェ自身とともにニーチェ哲学全体を振り返るのがオススメ。
【ニーチェの伝えたいこと】
隣人愛や神の前の平等を説くキリスト教も、最大多数の幸福を追う功利主義も、形式上全員に同じ権利が与えられる民主主義も、神や理性から道徳を説いた西洋哲学も、私から言わせればどれも虚構であり”まやかし”である。
人間の本質は、自分が強くありたい、自分が人を支配したい、自分が幸せでありたいと願う存在なのであり、この「力への意思」こそが人類を強くしているのだ。人に優劣があるのは当然であって、平等や道徳といった偽善を説くのは、常に劣った人々の方である。
第13位「幸福について」ショーペンハウアー
【どんな本?】
「苦悩に満ちた世界を、いかに心穏やかに生きるべきか」を、ドイツの厭世哲学者ショーペンハウアーが一般読者向けに易しく説いた幸福論入門編。賢者と愚者を比較して論証を薦めるので、自分を賢者側と見る青少年の「中二病」を助長する側面はあるかもしれない。
「自分自身に価値のある人間は孤独を好み、そうでない人間は自らの空虚さと単調さを埋めるために、やたらと群れる」という名言が突き刺さる、人付き合いに疲れた人におすすめの一冊。
【ショーペンハウアーが伝えたいこと】
人間は絶えず満たされない欲望を追求するから、人生は苦である。では、この苦悩に満ちた世界を心穏やかに生きるには何を心がければ良いかと言えば、以下のとおりである。
①愚者は財産や名誉を目的に生きるが、それらは人を幸福にしない。賢者のように、自らの人格を高めることを人生の目的とするべきだ。
②幸福と快楽は長続きしないし、ぼんやりしたものだが、苦悩や苦痛は継続し、具体的である。よって、人は幸福を追うより不幸を避けるべきだ。
③愚者は、自分自身が空虚なので人と群れたがるが、それでは幸福になれない。賢者のように自分の精神世界と向き合うために、孤独でいるべきだ。
そもそも、世界は各個人の主観の表れだから、各自が主観を否定すれば苦から逃れることができる。
第14位「武士道」新渡戸稲造
【どんな本?】
明治の初め、外国人学者から「宗教教育のない日本でどうやって道徳教育が授けられるのか」と問われたことをきっかけに執筆した「日本の道徳」論。高い倫理観と精神力を兼ね備えた武士道の本質を見事に描き出す。「侍にとって卑怯な行動や不正な行動ほど恥ずべきものはない」という一節でも有名。
「日本人の根底に流れる美意識」を理解する上で、同じ明治時代に英語で出版された「代表的日本人」及び「茶の本」と並んで必読の書とされることが多い。欧米人にも大きな反響をもたらした一冊。
原書は英語で書かれており、セオドア・ルーズベルト米大統領はこれを読んで感動し、何十冊も購入して家族や友人に配ったという。
【新渡戸稲造が伝えたいこと】
欧米のみなさん!日本にもしっかりした道徳観がありますから、対等に付き合ってくださいね!
第15位「幸福論」アラン
【どんな本?】
ラッセル『幸福論』、ヒルティ『幸福論』と並ぶ、いわゆる「3大幸福論」の一つ。「人生とはつらく、しんどいもの」という前提を受け入れた上で、何をどうすれば幸せを感じられるのかを、実例を交えながら分かりやすく説く。
比較的真面目な内容に終始するラッセル(イギリス人)やヒルティ(ドイツ人)の幸福論と比べて、フランス人らしい陽気さが感じられる。「フランス散文の最高傑作」とも評される名著。美味しいカフェオレとマカロンでも楽しみながら、じっくりと楽しみたい一冊。
【アランが伝えたいこと】
人生というものは、元来しんどく、つらいものだ。何もしなければ悲観主義が真理である。必要なのは、意識的に上機嫌でいることだ。幸せになれるかどうかは、自分の心持ち次第。幸福は自分で作るものだ。
あなたが上機嫌でいれば、周囲の態度も変わる。誰でも、不機嫌になったりかっとなったりしたことを恥じるからだ。あなた自身は不機嫌になって人生を台無しにしてはいけない。
第16位「道をひらく」松下幸之助
【どんな本?】
「経営の神様」松下幸之助が、人生を生きる上での不変の大原則をまとめた短編随想集。1968年発刊ながら、今なお多くの人が「座右の書」に挙げる大ベストセラー(累計400万部超え)。PHP出版によると、女性読者は男性読者の倍。
「自信を失ったときに」「仕事をより向上させるために」「生きがいのある人生のために」など、身近な項目が並び、読む者を勇気付ける。自分の人生を一度棚卸しし、再点検したい社会人の方に特におすすめ。
【松下幸之助が伝えたいこと】
宇宙には根源的なエネルギーと自然の理法(不変の道徳と幸福・平和・繁栄)が存在する。人間はそれを体現する特別な存在であるから、以下のように振る舞わなければならない。
・個々の天性(能力)を存分に発揮する
・人間同士の礼を失わない
・人生観と信念を持って人生を生きる
・自分は宇宙と社会に生かされていると感謝する
人間は本来的に幸福・平和・繁栄が与えられているのだから、悩みは生まれないはずである。悩みは人間が作っているのだ。
第17位「貞観政要」太宗
【どんな本?】
中国史に残る天下泰平の時代をつくった唐の太宗の言行録であり、帝王学の教科書。
元のフビライ・ハン、明の万暦帝、清の乾隆帝の他、北条政子、徳川家康や明治天皇もこれに学んだ。優れたリーダーに必要な条件とは何かを分かりやすく説く、部下や後輩を持つ全社会人の必読古典。
【太宗が伝えたいこと】
国を繁栄させるのも滅ぼすのも、リーダーの資質次第である。私が考える「あるべきリーダー像」は以下のとおりだ。
①自らを律することができるリーダー
②法ではなく徳で治めることができるリーダー
③平時から有事に備えられるリーダー
第18位「嫌われる勇気」岸見一郎
【どんな本?】
全ては自分次第!嫌われたっていい!自分を受け入れ、他人を信頼し、社会の中で生きよ!と説くアドラー心理学の入門書。フロイトやユングの陰に隠れた巨匠を日本に紹介した大ベストセラー。
「人間関係で悩むことが多い人」「他人の目や評価が気になってしまう人」「人生に充実感を感じられない人」に特におすすめ。「対人関係の悩み、人生の悩みを100%消し去る”勇気”の対話篇」というやや誇大広告気味のキャッチコピーもあって、売れに売れた一冊。
【岸見一郎(アドラー)が伝えたいこと】
自分の行動原理を自分の外側に求めてはいけない。例えば、人間関係が上手くいかないとき、理由を自分以外に求めてはいけない。また、承認欲求を満たそうとして、外からの評価に振り回されてはいけない。
つまり、常に自分自身が行動を決めなくては幸福にはなれない。そのためには、周囲から「嫌われる勇気」を持たなければいけない。
以上のことに留意して、決して自己中心的になることなく、「仕事」「交友」「愛」という3種類の対人関係と向き合い、共同体の一員として生きていくことが幸福に繋がる。
第19位「人生の短さについて」セネカ
【どんな本?】
古代ローマの哲学者セネカが説く「主体的な時間管理論」。愚人は無意識のうちに周囲に時間を奪われるが、賢人は過去の英知に学ぶことで、人生を豊かにする。
50ページの薄い本なので一気に読める。「時間」という人生の基本要素について、2000年にわたり読み継がれている古典中の古典。長い一生のうち、一度は読んでおくべき一冊。普段忙しくて自分を省みる時間がない人におすすめの「人生の処方箋」。
【セネカが伝えたいこと】
凡人は忙しく過ごすことで、考えることから逃げている。しかし、だからといって惰眠や娯楽に興じるのは、時間の浪費だ。
賢人は欲望や見栄や怠惰に惑わされず、静かで落ち着いた生活の中で、先人たちから受け継いだ学問的財産を次の世代に渡す仕事に打ち込むべきだ。
第20位「学問のすすめ」福澤諭吉
【どんな本?】
長く続いた封建社会と儒教思想から脱し、近代民主主義国家に相応しい市民への意識改革を促す大ベストセラー啓蒙書。「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」というフレーズで有名。
「本当に頭の良い人が書いた本」の典型。論旨明快、比喩も適切。明治維新を支えた思想的背景の神髄を3時間程度の読書で理解できる卓越した名著。慶應受験者はもちろん、教養を志す全ての人にとって「学問のすすめ」「文明論之概略」「福翁自伝」の3冊は特に必読。
【福澤諭吉が伝えたいこと】
時代は変わった。日本は古臭い儒教思想や慣習を捨て、西洋に学び、社会契約を基礎とした法治国家を打ち立て、独立を守らなければならない、失業した武士200万人の活路はそこにしかない。
そのためには、各個人も旧習を捨て、学問をしなければならない。人と交わり、様々な事物に関心を持ち、議論を交わし、自由に財産や地位を追求できる環境の中でこそ、社会は発展していくのだ。
第21位「君たちはどう生きるか」吉野源三郎
【どんな本?】
15歳の少年が、日常生活を通して「いかに生きるべきか」を考え、成長していく物語。少年の話を聞いた叔父が、ノートにアドバイス書き綴るという形式で話が進む。文学作品、倫理・哲学書、教養論のいずれの性格も持つ。
取り上げられているテーマは大きく7つ(自我、正義、経済構造、貧富の差、社会貢献、過ちと後悔、人類の進歩)。2017年には漫画化され、200万部を超える大ベストセラーとなった。原作も素晴らしいが、漫画版のクオリティの高さは神業。あらゆる世代にオススメ。池上彰氏も絶賛する一冊。
【吉野が伝えたいこと】
人間は過去、数万年にわたって科学や文化を進歩させて積み上げてきた。だから、将来的には理性の力によって、貧富の差や戦争のない世界を創り出すことが出来る。
ただしそのためには、各人が自分自身で、何が正しく、何が善く、何が美しいのかを考え、真実を見極めなければならない。特に学業に集中できる立場にいる選ばれた人間は、自己を修養し、人類の進歩に積極的に貢献しなければならない。
第22位「ユートピア」トマス・モア
【どんな本?】
架空の国「ユートピア」の描写を通じて、ヨーロッパ人の傲慢さと強欲さを痛烈に批判する、イギリスルネサンスの最高傑作。第一巻では当時のヨーロッパ社会を直接批判し、第二巻では理想的な社会であるユートピアを描写することで、間接的に当時のヨーロッパ社会を批判している。
「人間は理性で理想の国を創ることができる」というヨーロッパ人らしい発想を楽しめる。社会思想史としても、あるいは単純な読み物としても卓越した面白さ。欧米知識人の間では必読の古典。政治・経済系の本では本書からの引用も多い。
【トマス・モアが伝えたいこと】
ユートピアでは、よく議論されて制定された法律のもと、私有財産は無く、全国民が家族のように幸せに暮らしている。貧富の差もなく、社会保障や医療、教育も充実している。労働は一日6時間でよい。
なぜこれらが可能かと言えば、国民全体に、自分の利益より公共の利益を優先させる教養と徳が身についているからだ。足ることを知らず、傲慢かつ貪欲で、私利私欲の塊とも言える現代ヨーロッパ人では、到底ユートピアのような国を築くことはできない。
第23位「君主論」マキャヴェリ
(講談社学術文庫)
※「非常時のリーダーシップ」を扱う歴史的名著!訳は講談社版がオススメ
【どんな本?】
西洋の「君主論」、東洋の「韓非子」とも言われる非常時の冷酷なリーダーシップ論。「愛されるより恐れられるほうが、はるかに安全である」というフレーズに象徴される「マキャヴェリズム」の言葉を生み、ローマ教皇庁によって禁書目録に加えられた。
リーダーシップに関する定番中の定番であり、古典中の古典。リーダーシップに関心のある人にとっては必読の一冊。菅義偉元首相の愛読書としても知られる。
【マキャヴェリの伝えたいこと】
非常時の君主に必要なのは、宗教的倫理や道徳に制約されない「ライオンのような勇猛さと狐のような狡猾さ」である。君主は軍事と権謀術数に専念せよ。
第24位「国家」プラトン
【どんな本?】
国家と個人を対比しながら、理想の国家体制や個人の生き方について語るプラトンの代表作。副題は「正義について」。
西洋哲学の源流であり、最重要&必読哲学書の一つ。分量は多いが、中身はシンプル&ロジカルなのでどんどん読み進められる。哲学書特有の「小難しさ」もほとんど無い。
【プラトンが伝えたいこと】
正義とは「理性と勇気が、醜い欲望を制御する」という秩序を受け入れることである。それは個人でも国家でも同様であるが、国家の場合、その規模が大きくなると統治が困難になり、戦争が起こる。
よって、政治は「善のイデア」と正義を熟知している哲学者に任せるべきだ。
第25位「戦略的思考とは何か」岡崎久彦
【どんな本?】
日本の取るべき外交戦略を、日本の地理と歴史から論理的に紡ぎ出す「地政学」及び「国家戦略論」の名著。ロシアが戦争を起こし、北朝鮮が大陸間弾道ミサイルを乱射し、中国が一帯一路でアジアからアフリカにかけて影響力を増す今こそ、読み返すべき一冊。「今でしょ!」でお馴染みの林修先生の愛読書でもある。
【岡崎久彦が伝えたいこと】
日本は歴史的に海に守られてきたため、国際情勢を理解し、安全保障戦略を立案する論理的思考が欠如している。
日本は地理的に見ても歴史的に見ても「親中露」はあり得ず、アングロサクソン(米英)と手を組む他に道はないのである。