【人事部長の教養100冊】おすすめランキング(2022年版)

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  1. 第1位「愛するということ」フロム
  2. 第2位「銃・病原菌・鉄」ダイアモンド
  3. 第3位「菊と刀」ベネディクト
  4. 第4位「自省録」アントニヌス
  5. 第5位「夜と霧」フランクル
  6. 第6位「幸福論」ヒルティ
  7. 第7位「これからの「正義」の話をしよう」サンデル
  8. 第8位「サピエンス全史」ハラリ
  9. 第9位「論語と算盤」渋沢栄一
  10. 第10位「歴史とは何か」カー
  11. 第11位「道をひらく」松下幸之助
  12. 第12位「貞観政要」太宗
  13. 第13位「生き方」稲森和夫
  14. 第14位「幸福について」ショーペンハウアー
  15. 第15位「人を動かす」カーネギー
  16. 第16位「幸福論」アラン
  17. 第17位「7つの習慣」コヴィー
  18. 第18位「人生の短さについて」セネカ
  19. 第19位「学問のすすめ」福沢諭吉
  20. 第20位「人生論」 トルストイ
  21. 第21位「ペスト」カミュ
  22. 第22位「国家」プラトン
  23. 第23位「ハムレット」シェイクスピア
  24. 第24位「自助論」スマイルズ
  25. 第25位「嫌われる勇気」岸見一郎
  26. 第26位「幸福論」ラッセル
  27. 第27位「君たちはどう生きるか」吉野源三郎
  28. 第28位「フランクリン自伝」フランクリン
  29. 第29位「武士道」新渡戸稲造
  30. 第30位「生きがいについて」神谷美恵子
  31. 第31位「マネジメント」ドラッカー
  32. 第32位「文明論之概略」福沢諭吉
  33. 第33位「星の王子さま」サン・テグジュペリ
  34. 第34位「ニコマコス倫理学」アリストテレス
  35. 第35位「プロフェッショナルの条件」ドラッカー
  36. 第36位「善悪の彼岸」ニーチェ
  37. 第37位「超入門 失敗の本質」鈴木博毅
  38. 第38位「戦略的思考とは何か」岡崎久彦
  39. 第39位「ユートピア」トマス・モア
  40. 第40位「福翁自伝」福沢諭吉
  41. 第41位「こころ」夏目漱石
  42. 第42位「君主論」マキャヴェリ
  43. 第43位「代表的日本人」内村鑑三
  44. 第44位「スッタニパータ(ブッダのことば)」釈迦
  45. 第45位「経営者の条件」ドラッカー
  46. 第46位「ガリア戦記」カエサル
  47. 第47位「エミール」ルソー
  48. 第48位「平家物語」作者不詳
  49. 第49位「茶の本」岡倉天心
  50. 第50位「言志四録」佐藤一斎
  51. 第51位「アメリカにおけるデモクラシーについて」トクヴィル
  52. 第52位「菜根譚」洪自誠
  53. 第53位「昭和16年夏の敗戦」猪瀬直樹
  54. 第54位「ソクラテスの弁明」プラトン
  55. 第55位「饗宴」プラトン
  56. 第56位「古事記」太安万侶編纂
  57. 第57位「韓非子」韓非
  58. 第58位「運命を創る」安岡正篤
  59. 第59位「チーズはどこへ消えた?」S・ジョンソン
  60. 第60位「方法序説」デカルト
  61. 第61位「源氏物語」紫式部
  62. 第62位「論語」孔子
  63. 第63位「モモ」エンデ
  64. 第64位「南洲翁遺訓」西郷隆盛
  65. 第65位「永遠平和のために」カント
  66. 第66位「氷川清話」勝海舟
  67. 第67位「ツァラトゥストラはこう言った」ニーチェ
  68. 第68位「修身教授録」森信三
  69. 第69位「逝きし世の面影」渡辺京二
  70. 第70位「21 Lessons」ハラリ
  71. 第71位「アメリカの鏡・日本」ミアーズ
  72. 第72位「般若心経」
  73. 第73位「この人を見よ」ニーチェ
  74. 第74位「老子」「荘子」老子・荘子
  75. 第75位「方丈記」鴨長明
  76. 第76位「遺伝子の社会」ヤナイ
  77. 第77位「プラグマティズム」ジェイムズ
  78. 第78位「善の研究」西田幾多郎
  79. 第79位「オイディプス王」ソポクレス
  80. 第80位「重職心得箇条」佐藤一斎
  81. 第81位「孫子」孫武
  82. 第82位「福翁百話」福沢諭吉
  83. 第83位「思考は現実化する」ナポレオン・ヒル
  84. 第84位「歎異抄」唯円
  85. 第85位「活眼活学」安岡正篤
  86. 第86位「歴史入門」ブローデル
  87. 第87位「人生論ノート」三木清
  88. 第88位「宋名臣言行録」 朱熹
  89. 第89位「モンゴル帝国の歴史」杉山正明
  90. 第90位「人物を修める」安岡正篤
  91. 第91位「原因と結果の法則」アレン
  92. 第92位「歴史の大局を見渡す」ダラント
  93. 第93位「人体600万年史」リーバーマン
  94. 第94位「徒然草」兼好法師(吉田兼好)
  95. 第95位「伊勢物語」作者不詳
  96. 第96位「ユダヤ人の歴史」シェインドリン
  97. 第97位「アンダルシーア風土記」永川玲二
  98. 第98位「昨日までの世界」ダイアモンド
  99. 第99位「進化は万能である」リドレー

第1位「愛するということ」フロム

【どんな本?】

「愛とは自然に発生する感情ではなく、その人の意志であり技術である」「自分自身を愛せない者は、他の誰も愛せない」と説く、実践的な愛の哲学。普段あまり意識することのない「愛」について、改めて深く考る機会となる一冊。

【フロムが伝えたいこと】

愛とは自然に発生する感情ではなく、その人の意思であり技術である。愛とは、自分が「意識的に」相手を尊重し、その生命と成長を積極的に気にかけることであって、自分自身と相手が一体になることである。

よって、自分のことを愛せない人には、他の人も愛せない。愛を性欲やチームワークの一形態と見るのは不健全である。

要約&学びのポイント解説

第2位「銃・病原菌・鉄」ダイアモンド

【どんな本?】

「なぜインカ帝国を征服したのがヨーロッパ人だったのか、なぜその逆ではなかったのか」という疑問を「単なる地理的な要因」と喝破した、地理学・進化生物学・文化人類学等を横断するマクロヒストリーのベストセラー。あの、ひろゆき氏も「ベストワン。まさに一生モノの本」と絶賛。

【ダイアモンドが伝えたいこと】

歴史は、異なる人々によって異なる経路をたどったが、それは人々のおかれた環境の差異によるものだ。過去500年間、世界を支配したのがヨーロッパ人であったのは、ヨーロッパ人が生物学的に優れていたわけではなく、単に以下のような地理学的要素(気候・地形等)のせいに過ぎない。

①生産性の高い穀物・家畜の存在による人口増加(栽培化・家畜化しやすい野生種はユーラシア大陸に偏在していた)

②技術・文字・政治システム等の発明・伝播と相互交流によるブラッシュアップ(同緯度帯が東西に長く大きなユーラシア大陸は人口が多く、競合する社会の数も多かったため、技術の発明や改良に有利だった)

③病原菌への耐性(ユーラシア大陸は人口稠密で人間が家畜と近い距離にいた)

要約&学びのポイント解説

第3位「菊と刀」ベネディクト

【どんな本?】

日本は「恥」の文化、欧米は「罪」の文化という綺麗な二元論で日本を論じたロングセラー本。「外国人による日本人論」のジャンルでは定番の一冊であり、最高峰。

【ベネディクトが伝えたいこと】

日本人の思考・言動が欧米人にとって不可解なのは、根本にある行動規範が、以下2点に立脚しているからだ。
・他人から受けた施しをどう返すかという「恩」
・他人からどう見られるかという「恥」

つまり、行動規範に常に他人が存在する故に、その他人によって言動が相対的に変化するのである。絶対的な神や理性を信じる欧米人にはそれが不可解に見えるのだ。

要約&学びのポイント解説

第4位「自省録」アントニヌス

【どんな本?】

ローマ帝国五賢帝の一人であり、後期ストア派を代表する哲人でもあるマルクス・アウレリウスが、多忙な公務の中、ひたすら自分の内面を見つめ、戒め、己を律する言葉を綴った個人ノート。

英国の哲学者J・S・ミルが「古代精神の最も高い倫理的産物」と評すなど、数多くの学者・政治家が座右の書として挙げ、2000年にもわたり語り継がれている。

【アントニヌスが伝えたいこと】

人の為すべきことは、大きく言えば、以下2つである。

①宇宙の正道(真の心で、善きことを、美しく為すこと)に基づいて、社会に尽くすこと。

②自分の感情を理性で制御し、心の安寧を維持すること。制御できるものだけを制御し、その他(死・病気・貧困・評判・他人など)は気にしないこと。

要約&学びのポイント解説

第5位「夜と霧」フランクル

【どんな本?】

「ナチスドイツの強制収容所での生活」という自分自身が経験した極限状態を考察とすることで、人間の根源(生き方、モラル、真善美の判断)に迫る。多くの欧米人が「生涯の一冊」に挙げる大ベストセラー。

【フランクルが伝えたいこと】

強制収容所という極限状態で生き延びたのは、体の強い者でもなく、歳の若い者でもなく、明日への希望と生きる意味を見失わなかった者だ。人間がどう生きるかを決めるのも、また人間である。

要約&学びのポイント解説

第6位「幸福論」ヒルティ

【どんな本?】

ラッセル『幸福論』、アラン『幸福論』、と並ぶ、いわゆる「3大幸福論」の一つ。ストア哲学とキリスト教をベースに、「仕事と愛と理性」を通じて幸せに辿り着くための具体的手法を紹介する。人生において何を大切にすべきか、自分の中で整理できる名著。

【ヒルティが伝えたいこと】

「道徳」「教養」「愛」「誠実」「健康」を身に付け、「欲望」「嫌悪」「怒り」「不機嫌」を制御し、「病気」「死」「貧困」を現実として受け入れよ。

その上で、「仕事」に打ち込むべきだ。人間の幸福の最大部分は、絶えず続けられる仕事と、そこから生まれる「喜び」や「やりがい」である。「財産」「名誉」「地位」は人を決して幸せにしない。

要約&学びのポイント解説

第7位「これからの「正義」の話をしよう」サンデル

【どんな本?】

ハーバード大学の超人気哲学講義“JUSTICE”で有名なサンデル教授が「正義」について語る。NHK「ハーバード白熱教室」とともに社会現象を巻き起こした大ベストセラー。

「何もしなければトロッコが5人を轢く、レバーを引けばそれが1人で済む。どうすべきか」というトロッコのジレンマをはじめとして、自由・平等・幸福・倫理等に真正面からぶつかる「正義入門書」。

【サンデルが伝えたいこと】

正義に対する考え方は大きく3つある。①功利主義(社会全体の幸福を最大にする)、②自由主義(個人の選択の自由を尊重する)、③共同体主義(社会の共通善を信じる)がそれだが、私は③の立場を取る。

要約&学びのポイント解説

第8位「サピエンス全史」ハラリ

【どんな本?】

人類がいかに他の生物を優越し、現代のグローバル社会を形成してきたかを、人類史全体という長期的・巨視的な視点から俯瞰したマクロヒストリーの大作。

Facebook創設者のマーク・ザッカーバーグや、『銃・病原菌・鉄』の著者ジャレド・ダイアモンドも絶賛した大ベストセラー。果たして人類は大昔より幸せになっているのか?人類史を再構築した画期的な一冊。

【ハラリが伝えたいこと】

現生人類は「宗教・国家・法律」などの虚構を生み出し、それを言語で伝達するという手段を得て以降、地球の主となる。その後、紀元前1000年紀に登場した「①貨幣、②帝国、③宗教」という3つの普遍的な秩序は、世界をグローバル化する役割を果たす。

しかし、人類が以前より幸せになったかは定かではない。幸せが主観的なものならば、古代より現代の方が幸せと誰が言えるだろうか。人類は遺伝子工学等により、ホモ・サピエンスの生物学的限界を超えようとしている。私たちが問うべきは「私たちは一体何になりたいのか」ということだ。

要約&学びのポイント解説

第9位「論語と算盤」渋沢栄一

【どんな本?】

日本資本主義の父、渋沢栄一が繰り出す「修正資本主義」論。西洋型の資本主義システムと、東洋型の公益・人間主義は相反せず融合できると説く。資本主義が暴走し、格差が広がり続ける現代だからこそ、改めて読んでおきたい一冊。最近では、大谷翔平の愛読書としても知られる。

【渋沢栄一が伝えたいこと】

天が示す正しくて道理のあること(=論語)と、企業が利潤を求めて活動すること(=算盤)は一致する。つまり、あらゆる企業活動は、暴利を貪るのではなく、広く社会の利益に資するものでなければいけない。

要約&学びのポイント解説

第10位「歴史とは何か」カー

【どんな本?】

歴史哲学の大家E・H・カーが1961年にケンブリッジ大学で講演した「歴史とは何か」を書籍化したもの。歴史とは客観的事実を集めることではなく、事実の背後にある価値体系や思想体系まで含めて解釈し、後世に伝達することだと主張する。欧米では、歴史を学ぶ者にとって「必読書と言われている。

【カーが伝えたいこと】

過去の諸事件に秩序を与え、これを解釈し、社会の役に立てることが歴史家の仕事である。しかし、いくつか心に留めておくべきことがある。

まず、歴史は科学ではない。次に完全に客観的な歴史などあり得ない。偉人の成果だけに着目して歴史を把握することも誤っている。また、歴史にゴールは無いし、歴史には進歩も後退もある。ただ、進歩を信じ、後世のためにそれまでの経験を伝達する義務を果たすだけである。

要約&学びのポイント解説

第11位「道をひらく」松下幸之助

【どんな本?】

「経営の神様」松下幸之助が、人生を生きる上での大原則をまとめた短編随想集。1968年発刊ながら、今なお多くの人が「座右の書」に挙げる大ベストセラー。PHP出版によると、女性読者は男性読者の倍。非常にシンプルなのに心に染み入る言葉が並び、松下幸之助の世界にグイグイと引き込まれる。自分の人生を再点検したい方におすすめ。

【松下幸之助が伝えたいこと】

宇宙には根源的なエネルギーと自然の理法(不変の道徳と幸福・平和・繁栄)が存在する。人間はそれを体現する特別な存在であるから、以下のように振る舞わなければならない。

個々の天性(能力)を存分に発揮する
・人間同士の礼を失わない
・人生観と信念を持って人生を生きる
・自分は宇宙と社会に生かされていると感謝する

人間は本来的に幸福・平和・繁栄が与えられているのだから、悩みは生まれないはずである。悩みは人間が作っているのだ。

要約&学びのポイント解説

第12位「貞観政要」太宗

【どんな本?】

中国史上有数の名君の一人と称えられる唐の太宗の言行録で、帝王学の教科書。元のフビライ・ハン、明の万暦帝、清の乾隆帝の他、源頼朝、徳川家康や明治天皇もこれに学んだ。優れたリーダーに必要な条件とは何かを分かりやすく説く、部下や後輩を持つ全社会人の必読古典。

【太宗が伝えたいこと】

天下を治めるには「徳」が最も大切である。リーダーは常に謙虚に自らを律しなければならない。

要約&学びのポイント解説

第13位「生き方」稲森和夫

【どんな本?】

京セラを設立し、破綻したJALを再生させた稲森和夫が「人間が生きる意味とは」「人間はどう生きるべきか」という哲学的命題を、誰にでも分かる言葉で明快に示した大ベストセラー。

「人生・仕事の結果=考え方(-100~100)×熱意(0~100)×能力(0~100)」を含む、とにかく読む人を前向きにさせてくれる一冊。

【稲森和夫が伝えたいこと】

人間が生きる意味は、人格を高めるために倦まず弛まず努力し、この世に来た時より美しい魂を持ってこの世を去ることにしかない。「真・善・美」に基づいて日々精進すれば、それは必ず実現する。

人生・仕事の結果=考え方(-100~100)×熱意(0~100)×能力(0~100)である。熱意は後天的、能力は先天的。考え方はその人の哲学であり、方向を間違えると結果はマイナスになる。仕事にコツコツ打ち込むことは、人格形成に繋がる深淵かつ崇高な行為である。

要約&学びのポイント解説

第14位「幸福について」ショーペンハウアー

【どんな本?】

「苦悩に満ちた世界を、いかに心穏やかに生きるべきか」を、ドイツの厭世哲学者ショーペンハウアーが一般読者向けに易しく説いたベストセラー。賢者と愚者を比較して論証を薦めるので、自分を賢者側と見る青少年の「中二病」を助長する側面はあるかもしれない。

「自分自身に価値のある人間は孤独を好み、そうでない人間は自らの空虚さと単調さを埋めるために、やたらと群れる」という名言が突き刺さる、人付き合いに疲れた人におすすめの一冊。

【ショーペンハウアーが伝えたいこと】

私たちは幸福になるために生存しているわけではなく、苦悩の中に投げ込まれた存在である。よって、生にまつわるあらゆる出来事は「苦」なくして語りえないのだから、人は出来る限り快適に心穏やかに生きる技術を身に付けるべきだ。

要約&学びのポイント解説

第15位「人を動かす」カーネギー

【どんな本?】

対人関係を好転させるための具体的なテクニックがふんだんに詰まった世界的大ベストセラー。どれも、コストを掛けず直ぐに実践できる点が人気の理由。

「人との上手な付き合い方」ジャンルの最高峰であり定番中の定番。「何となく頭では分かっているけど、意外と実践できていない」対人関係スキルが、気持ちいいほど見事に可視化(文字化)されている名著。

【カーネギーが伝えたいこと】

対人関係は、日頃からの心掛けといくつかのテクニックで必ず好転する。知っている人と知らない人では大違いだ。

対人関係の基本は、相手を尊敬すること、そしてそれを態度や言葉で示すこと。それが自分の利益として必ず返ってくる。

要約&学びのポイント解説

第16位「幸福論」アラン

【どんな本?】

ラッセル『幸福論』、ヒルティ『幸福論』と並ぶ、いわゆる「3大幸福論」の一つ。「人生とはつらく、しんどいもの」という前提を受け入れた上で、何をどうすれば幸せを感じられるのかを、実例を交えながら分かりやすく説く。

比較的真面目な内容に終始するラッセル(イギリス人)やヒルティ(ドイツ人)の幸福論と比べて、フランス人らしい陽気さ感じられる。「フランス散文の最高傑作」とも評される名著。

【アランが伝えたいこと】

人生というものは、元来しんどく、つらいものだ。何もしなければ悲観主義が真理である。必要なのは、信じ、期待し、微笑むことだ。幸せになれるかどうかは、自分の心持ち次第。幸福は自分で作るものだ。

あなたが上機嫌でいれば、周囲の態度も変わる。誰でも、不機嫌になったりかっとなったりしたことを恥じるからだ。あなた自身は不機嫌になって人生を台無しにしてはいけない。

要約&学びのポイント解説

第17位「7つの習慣」コヴィー

【どんな本?】

過去の成功者に共通する法則を見出し、中でも重要なのは「高潔な人格」と「信頼に基づくWin-Winの人間関係」であると説く。20世紀最強の自己啓発本であり、デール・カーネギー著「人を動かす」と並ぶ世界的大ベストセラー。

【コヴィーが伝えたいこと】

人生の成功に必要なのは、テクニックではなく、高潔な人格そのものである。外部からの刺激と自分の反応の間にスペースを置き、自分の反応に全責任を負わなくてはいけない。また、自分の進むべき道やゴールを明らかにし、意識的に時間とパワーを投下してそれに近づく努力も必要である。

自分の人格に自信を持つことで初めて、臆することなく他者と信頼関係を築くことができる。共感による傾聴によって相手も自分も高められるような道を見付けることで、あなたの人生はより豊かになる。

要約&学びのポイント解説

第18位「人生の短さについて」セネカ

【どんな本?】

古代ローマの哲学者セネカが説く「主体的な時間管理論」。愚人は無意識のうちに周囲に時間を奪われるが、賢人は過去の英知に学ぶことで、人生を豊かにする。

50ページの薄い本なので一気に読める。「時間」という人生の基本要素について、2000年にわたり読み継がれている古典中の古典。長い一生のうち、一度は読んでおくべき一冊。普段忙しくて自分を省みる時間がない人に特におすすめ。

【セネカが伝えたいこと】

凡人は忙しく過ごすことで、考えることから逃げている。賢人は欲望や見栄や怠惰に惑わされず、静かで落ち着いた生活の中で、先人たちから受け継いだ学問的財産を次の世代に渡す仕事に打ち込むべきだ。

要約&学びのポイント解説

第19位「学問のすすめ」福沢諭吉

【どんな本?】

長く続いた封建社会と儒教思想から脱し、近代民主主義国家に相応しい市民への意識改革を促す大ベストセラー啓蒙書。「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」というフレーズで有名。

「本当に頭の良い人が書いた本」の典型。論旨明快、比喩も適切。明治維新を支えた思想的背景のし神髄を3時間程度の読書で理解できる卓越した名著。慶應受験者はもちろん、教養を志す全ての人にとって「学問のすすめ」「文明論之概略」「福翁自伝」の3冊は特に必読。

【福沢諭吉が伝えたいこと】

時代は変わった。日本は古臭い儒教思想や慣習を捨て、西洋に学び、社会契約を基礎とした法治国家を打ち立て、独立を守らなければならない、

そのためには、各個人も旧習を捨て、学問をしなければならない。人と交わり、様々な事物に関心を持ち、議論を交わし、自由に財産や地位を追求できる環境の中でこそ、社会は発展していくのだ。

要約&学びのポイント解説

第20位「人生論」 トルストイ

【どんな本?】

ロシアの文豪トルストイが、人間が生きる意味を「幸福への志向」と定義した晩年の書。動物的自我を否定し、愛という人間固有の理性的活動で周囲を愛することにしか、人が生きる意味は無いとする。

エーリッヒ・フロム「愛するということ」と並び、読むと、自分を愛し、他人も愛したくなる温かい気持ちが湧き出てくる。普段忙しく、心がなんだか乾いているなと思う人に特におすすめ。

【トルストイ が伝えたいこと】

科学は人間を自然の一部と位置付けたがる。その方が説明が簡単だからだ。しかし、結局この世は人間の視点でしか認識できないのだから、理性を中心に据えてどう生きるかを考えるべきである。

人間が動物のように一時の快楽を追い求めたり、そのために争ったり、死を恐れたりしていては、幸福にはなれない。人間は時間と空間を超えた理性的意識に従って、自分を愛し、他者を愛し、自分以外のすべての幸福を願う事で、真の幸福を得ることができる。そうすれば、死への恐怖は永遠の生へと変わる。

要約&学びのポイント解説

第21位「ペスト」カミュ

【どんな本?】

感染症の流行とそれに伴う死、離別、相互不信、現実逃避といった極限状態にあっても、神に頼らず、誠実さや自分の職務を果たす人々がいた。世の中の不条理に対し、人間はどう連帯し、どう抗い、どう生きるべきなのかを問う「不条理文学」の金字塔。

70年近く前の作品ながら、人々の混乱、行政の後手対応、増え続ける感染者、都市のロックダウンなど、2020年に始まった新型コロナウィルス感染症の流行と全く同じ光景が繰り広げられる。

【カミュが伝えたいこと】

人間がペストという不条理に直面した際に為すべきことは、神に救済を求めることではなく、不条理に反抗することである。

神への信仰を維持し、自分を含む罪のない人々が不条理に死んでいく世界を愛し続けるか、あるいは神への信仰を捨ててそれに抗うかの二択なのである。人間が人間らしくあるためには、各個人がそれぞれの持ち場で出来る限りのことを誠実にやり遂げ、ペストという不条理と闘っていくしかないのだ。

要約&学びのポイント解説

第22位「国家」プラトン

【どんな本?】

副題は「正義について」。人はどう生きるべきかを、対話形式で平易に語る。西洋哲学の源流であるプラトンの代表作で、最重要必読哲学書の一つ。かの有名な「イデア論」も、本書の中で展開される。

【プラトンが伝えたいこと】

正義とは「理性と勇気が、醜い欲望を制御する」という秩序を受け入れることである。

要約&学びのポイント解説

第23位「ハムレット」シェイクスピア

【どんな本?】

シェイクスピア4大悲劇の一つ。父を毒殺し、母と再婚して王位についた叔父への復讐劇の中で、ハムレットの感情の揺れや迷いを描き出す。「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」のセリフでも有名。

悲劇らしく、最終幕に向けて関係者が次々と死んでいき、最後には誰もいなくなる。息をつかせぬ展開に、最後まで一気に読めてしまう。欧米の知識人であれば、シェイクスピアはほぼ確実に読んでいる。

【シェイクスピアが伝えたいこと】

「気高く」生きることを望むならば、人間は徹底的に悩み抜かなければならない。

叔父に父を殺され、王位と母を奪われた青年ハムレットは、理性的にもなりきれず、かといって感情的にもなりきれず悩み続けるが、最期は自分の信じた道を貫き通して復讐を果たす。ハムレットこそ、気高く生きる人間の姿である。

要約&学びのポイント解説

第24位「自助論」スマイルズ

【どんな本?】

欧米人300人の成功談を集めた自己啓発本の古典。序文の「天は自ら助くる者を助く(Heaven helps those who help themselves)」という言葉が特に有名。日本では「西国立志編」という名前で発刊。

「世界最古の自己啓発本」「あらゆる自己啓発本ルーツとされることも多い。トヨタグループの創始者である豊田佐吉や、サッカー元日本代表の本田圭佑も愛読。

【スマイルズが伝えたいこと】

財産も地位も天賦の才能もない人間でも、他人に頼らず独力で、勤勉と節約によって成功できる!

要約&学びのポイント解説

第25位「嫌われる勇気」岸見一郎

【どんな本?】

「全ての悩みは、対人関係の悩みである」と喝破し「自分を変える勇気付け」を後押しするアドラー心理学の入門書。フロイトやユングの陰に隠れた巨匠を日本に紹介した大ベストセラー。

「人間関係で悩むことが多い人」「他人の目や評価が気になってしまう人」「人生に充実感を感じられない人」に特におすすめ。

【岸見一郎が伝えたいこと】

自分の行動原理を自分の外側に求めてはいけない。例えば、人間関係が上手くいかないとき、理由を自分以外に求めてはいけない。また、承認欲求を満たそうとして、外からの評価に振り回されてはいけない。

常に自分自身が行動を決めなくては幸福にはなれない。そのためには、周囲から「嫌われる勇気」を持たなければいけない。

要約&学びのポイント解説

第26位「幸福論」ラッセル

【どんな本?】

ヒルティ『幸福論』、アラン『幸福論』、と並ぶ、いわゆる「3大幸福論」の一つ。

第一部で回避すべき「不幸の源泉」を、第二部で追うべき「幸福の源泉」を説明する、三大幸福論の中で最も論理的な作品。どうすれば幸福になれるかを、「心」ではなく「頭」で理解できる。ノーベル文学賞も受賞した作者が送る、21世紀の英知の代表例とも言える一冊。

【ラッセルが伝えたいこと】

幸福は、ごく少数の例外を除き、自然に手に入るものではない。人は自発的かつ主体的に不幸を「回避」し、幸福を「獲得」しなければならない。

この世の不幸を産み出す源泉は「悲観主義」「競争」「過度の刺激」「精神的疲労」「嫉妬」「罪悪感」「過度な自意識」そして「世間からの評価」である。

要約&学びのポイント解説

第27位「君たちはどう生きるか」吉野源三郎

【どんな本?】

15歳の少年が、日常生活を通して「いかに生きるべきか」を考え、成長していく物語。少年の話を聞いた叔父が、ノートにアドバイス書き綴るという形式で話が進む。文学作品、倫理・哲学書、教養論のいずれの性格も持つ。

取り上げられているテーマは大きく7つ(自我、正義、経済構造、貧富の差、社会貢献、過ちと後悔、人類の進歩)。2017年には漫画化され、200万部を超える大ベストセラーとなった。原作も素晴らしいが、漫画版のクオリティの高さは神業。あらゆる世代にオススメ。

【吉野が伝えたいこと

人間は過去、数万年にわたって科学や文化を進歩させて積み上げてきた。だから、将来的には理性の力によって、貧富の差や戦争のない世界を創り出すことが出来る。

ただしそのためには、各人が自分自身で、何が正しく、何が善く、何が美しいのかを考え、真実を見極めなければならない。特に学業に集中できる立場にいる選ばれた人間は、自己を修養し、人類の進歩に積極的に貢献しなければならない。

要約&学びのポイント解説

第28位「フランクリン自伝」フランクリン

【どんな本?】

アメリカ建国の父、ベンジャミン・フランクリンの自伝。自己啓発本の元祖。勤勉・倹約、科学的探究心、合理主義でいかに自分は成功したかを説く「おじさんの自慢話」ジャンルの最高峰。自ら「人生をやり直せると言われても、私は自分の生涯を全部そのまま繰返したい」と評する自信っぷり。

人徳を完成させるための「13の徳目」が本書の肝。「アメリカ人が尊敬するアメリカ人とは、どのような人物なのか」がよく分かる一冊。

【フランクリンが伝えたいこと】

節制・勤勉・誠実・謙虚といった「人徳」を身に付けた者こそが、社会の役に立てる。

要約&学びのポイント解説

第29位「武士道」新渡戸稲造

【どんな本?】

明治の初め、外国人学者から「宗教教育のない日本でどうやって道徳教育が授けられるのか」と問われたことをきっかけに執筆した「日本の道徳」論。

「日本人とは何か」を理解する上で、同じ明治時代に英語で出版された「代表的日本人」及び「茶の本」と並んで必読の書とされることが多い。

【新渡戸稲造が伝えたいこと】

欧米のみなさん!日本にもしっかりした道徳観がありますから、対等に付き合ってくださいね!

要約&学びのポイント解説

第30位「生きがいについて」神谷美恵子

【どんな本?】

ハンセン病施設で医療活動に従事した精神科医神谷美恵子が、苦しみや悲しみの底にあっても、なお朽ちない希望や尊厳を患者の中から見出す。そして、健康な者に「生きる意味」を問う。日常への感謝、充実感、生きる力が内側から湧いてくる一冊。

【神谷美恵子が伝えたいこと】

人は通常の日常生活が送れなくなると、切実な必要に追いやられて、「生きるとは何か」「何を生きがいとするか」を問う精神世界に基盤を置くようになる。

自分は天にに必要とされていて、それに対して忠実に生きぬく責任があるのだという使命感を感じ、何かに打ち込むところまで達すると、人は前向きに生きられるようになる。人間の存在意義は、決してその利用価値や有用性によるものではない。

要約&学びのポイント解説

第31位「マネジメント」ドラッカー

【どんな本?】

現代経営学の巨匠ドラッカーが、自らのマネジメント論を初心者向けに一冊にまとめた入門書&教科書。マネジメントの要素を論理的に分割・分類して、一つずつ丁寧に解説する。

ドラッカー初心者は、まず本書で組織マネジメントの理論的基礎を、「プロフェッショナルの条件」で自己マネジメントの理論的基礎を学ぶのが一般的。

経営学に馴染みのない方は、本書の代わりに漫画「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」がオススメ。本書は「もしドラ」と呼ばれ、2011年には元AKB48の前田敦子主演で映画化された。

【ドラッカーが伝えたいこと】

現代社会では、主な社会的課題は組織の手に委ねられており、組織を率いるマネージャは社会のリーダー的な階層にある。この組織に成果をあげさせるための手段・機能がマネジメントである。

マネジメントの対象は顧客や市場にとっての価値という「成果」であって、社員ではない。マネジャーは、一人ひとりの強みと知識を生産的なものとし、働き甲斐と自主性を持たせ、成果に繋げなければならない。

要約&学びのポイント解説

第32位「文明論之概略」福沢諭吉

【どんな本?】

明治初期、日本が欧米列強に伍して独立を守っていくには、理想はともかく、現実論として何が必要かを説いた渾身の一冊。福澤の著書の中では、最も学問的な体裁が整っていると言われている。

大局観と先見性を持って、言いにくいこともどんどんぶった切っていく福澤に、読んでいて気持ちがスカっとする一冊。慶應受験者はもちろん、教養を志す全ての人にとって「学問のすすめ」「文明論之概略」「福翁自伝」の3冊は特に必読。

【福沢諭吉が伝えたいこと】

日本は「徳」の分野では西洋に負けていないが、文明・学問・技術という「才(=智恵)」では完敗している。日本人は徳川幕府にいいように飼い慣らされてしまい、独立自尊の気概がない。

攘夷も軍拡も国体論もキリスト教も儒教も役に立たない。早急に国民が智恵を付け、西洋文明に追い付かねば、日本の独立は危うい。一国の独立など、人間の智徳からすれば些細な事柄だが、現実の国際政治の有様では、そこまで高遠な議論はできないのだ。

要約&学びのポイント解説

第33位「星の王子さま」サン・テグジュペリ

【どんな本?】

全世界で8000万部以上発行されたベストセラー小説。「大切なものは、目に見えない」「大人は最初、誰でも子供だった」というフレーズで有名。故郷の星を離れて地球にやってきた小さな王子さまを通じて、人間同士の絆の大切さを訴える。

「本当に大切なものを大切にしていない」大人達がたくさん登場するので、読者は「自分はそうなっていないか」と自省しながら読むことができる。忙しい日々に疲れた時に、自分を見つめなおすことができる一冊。

【サン・テグジュペリが伝えたいこと】

大人は目の前の「やるべきこと」や「損得勘定」に囚われ過ぎていて、自分にとって本当に大切にすべき人や物事に対して、十分な時間と関心を振り向けられていない。

忙しい大人たちよ、一度立ち止まって、自分にとって何が大切なのかを考えてみるべきではないだろうか。大切なものができると、世界はより美しく、楽しく見え、自分はより幸せになれる。さあ、子供のころの純粋な心を取り戻そう。

要約&学びのポイント解説

第34位「ニコマコス倫理学」アリストテレス

【どんな本?】

万学の祖アリストテレスが「善く生きるためには何をすべきか」を突き詰めた実学の書。プラトンのイデア論(観念論)やエロス論(完全への渇望)に対するアンチテーゼでもある。

本書で示される「徳は科学ではないので定量化できないが、両極端の間のどこかに存在する」という「中庸」の考え方は、東洋の釈迦孔子も言及していることで有名。押さえておくべき考え方の一つと言える。

【アリストテレスが伝えたいこと】

「人はどう生きるべきか」という幸福・道徳・倫理に関わる分野は(数学や天文学と異なり)何らかの法則が普遍的に当てはまるということはなく、「大抵において成り立つ」くらいの程度で理解した方がよい。明確なイデア(理想)など存在しない。

それ故、理論研究には意味が無い。自らの努力によって得た「徳(人格)」を実践し、「最高善」を目指すことこそが、人生の究極の目的である「幸福」をもたらす。

幸福が究極の目的である理由は、私たちが幸福を望むのは幸福それ自体のためであって、決して他のためではないからである。人間の幸福は、快楽・財産・名誉からはもたらされない。何故ならそれらは単に幸福を得るための手段であって、目的ではないからだ。

要約&学びのポイント解説

第35位「プロフェッショナルの条件」ドラッカー

【どんな本?】

現代マネジメント思想の巨人ドラッカーが、これまでの著作から「自己成長」や「自己実現」に関するエッセンスを抜き出し加筆・削除・修正した「ドラッカーによるドラッカー入門書」。

自らの業務範囲を限定した「ジョブ型雇用」が広がり始めた今こそ、ドラッカーの主張する「ゼネラリスト型人間」のあり方にも耳を傾けたい。ドラッカー初心者は、まず「マネジメント」で組織マネジメントの理論的基礎を、本書で自己マネジメントの理論的基礎を学ぶのが一般的。

【ドラッカーが伝えたいこと】

現代は知識社会で、専門知識が価値の源泉になっているが、それらを統合するには人間力全般の向上が欠かせない。目の前の事象を、自らの座標軸の中で正しく位置付けられるようなゼネラリストこそ、この知識社会では必要になる。

そのためにはまず、自己をマネジメントすることだ。常に理想を追い求め、高い志を持ち、自分の強みを特定の分野に集中して成果を出す。最終的には「自分は何によって憶えられたいか」を意識しなければ、人生を無駄にすることになる。

要約&学びのポイント解説

第36位「善悪の彼岸」ニーチェ

【どんな本?】

それまでの伝統的な哲学体系を痛快に全否定し、「今、この瞬間を生きる」ことを説いたニーチェの代表作。

ルサンチマン、ニヒリズム、永劫回帰、力への意志、超人など、ニーチェ思想の神髄がエッセイ風に語られる。ニーチェに関心を持ったら、まず「善悪の彼岸」でニーチェ哲学の要点を押さえ、その後「ツァラトゥストラ」でその世界に浸り、最後に「この人を見よ」でニーチェ自身とともにニーチェ哲学全体を振り返るのがオススメ。

【ニーチェの伝えたいこと】

隣人愛や神の前の平等を説くキリスト教も、最大多数の幸福を追う功利主義も、形式上全員に同じ権利が与えられる民主主義も、神や理性から道徳を説いた西洋哲学も、私から言わせればどれも虚構であり”まやかし”である。

人間の本質は、自分が強くありたい、自分が人を支配したい、自分が幸せでありたいと願う存在なのであり、この「力への意思」こそが人類を強くしているのだ。人に優劣があるのは当然であって、平等や道徳といった偽善を説くのは、常に劣った人々の方である。

要約&学びのポイント解説

第37位「超入門 失敗の本質」鈴木博毅

【どんな本?】

歴史的名著「失敗の本質~日本軍の組織論的研究~」の入門編。開戦後の日本の「戦い方」を対象に、組織としての日本軍の失敗を分析する。「ゲームのルールを変える主体」vs「既存の土俵で戦い続ける主体」の構図は、ビジネスにもそのまま当てはまる普遍性あり。

【鈴木博毅が伝えたいこと】

旧日本軍が太平洋戦争に負けた主要因は、次のような点である。
・大戦略が欠如していた
・既存の枠組みにとらわれ、ルールチェンジに対応できなかった
・空気を読みあうような硬直的な組織だった
・大本営と現場の距離が遠かった

要約&学びのポイント解説

第38位「戦略的思考とは何か」岡崎久彦

【どんな本?】

日本の取るべき外交戦略を、日本の地理と歴史(=地政学)から論理的に紡ぎ出す名著。ロシアが戦争をはじめ、北朝鮮がミサイルを発射し、中国が一帯一路で影響力を増す今こそ読み返すべき一冊。「今でしょ!」でお馴染みの林修先生の愛読書でもある。

【岡崎久彦が伝えたいこと】

日本は地理的に見ても歴史的に見ても、アングロサクソン(米英)と手を組む他に道はない(ロシアや中国と手を組むことはあり得ない!)

要約&学びのポイント解説

第39位「ユートピア」トマス・モア

【どんな本?】

イギリスの法律家・人文主義者トマス・モアが書いた、架空の国「ユートピア」の見聞録。第一巻では当時のヨーロッパ社会を直接批判し、第二巻では理想的な社会であるユートピアを描写することで、間接的に当時のヨーロッパ社会を批判している。

「人間は理性で理想の国を創ることができる」というヨーロッパらしい発想を楽しめる。欧米知識人の間では必読の古典で、聖書と同じように本書から引用が為されることも多い。

【トマス・モアが伝えたいこと】

ユートピアでは、よく議論されて制定された法律のもと、私有財産は無く、全国民が家族のように幸せに暮らしている。貧富の差もなく、社会保障や医療、教育も充実している。労働は一日6時間でよい。

なぜこれらが可能かと言えば、国民全体に、自分の利益より公共の利益を優先させる教養と徳が身についているからだ。足ることを知らず、傲慢かつ貪欲で、私利私欲の塊とも言える現代ヨーロッパ人では、到底ユートピアのような国を築くことはできない。

要約&学びのポイント解説

第40位「福翁自伝」福沢諭吉

【どんな本?】

明治の大思想家、福沢諭吉の自伝。福澤の口述を新聞記者が文字に起こして連載した、明治版「私の履歴書」全15編。

西洋の「フランクリン自伝」と並ぶ自伝文学の名著中の名著。長崎からの脱出、学問への没頭、渡米、暗殺未遂など、一瞬たりとも飽きさせない福澤の筆力に脱帽させられる一冊。慶應受験者はもちろん、教養を志す全ての人にとって「学問のすすめ」「文明論之概略」「福翁自伝」の3冊は特に必読。

【福澤諭吉が伝えたいこと】

私は昔から身分制度や因習を非合理だと思っていた。自分は下級武士だったので、金も権力も全くなかったが、学問一つで世の中に貢献できるまでになった。幕府の門閥制度鎖国主義は嫌いだが、勤王家は幕府以上の鎖国攘夷だから、じっと中立独立を決め込んでいたのだ。

好き!→お酒、タバコ、運動、独立、勉強

嫌い!→攘夷、封建制度、儒教、借金、役人、血

要約&学びのポイント解説

第41位「こころ」夏目漱石

【どんな本?】

明治の文豪 夏目漱石後期の作品。私が慕う「先生」が、一人の女性を巡って親友Kを裏切った過去を悔んで、自身も自ら命を絶つ物語。人の孤独や生きにくさを描き出す。

日本における小説分野の最高峰。日本の文庫本の発行部数では歴代第1位。新聞に連載されていたため、一つ一つの章が短く、テンポよく読める。「美しい日本語」の教科書のようにも読める

【夏目漱石が伝えたいこと】

儒教、封建制、武士道といった忠義・道徳・禁欲等を尊ぶ「前近代的な精神」は時代遅れとなり、今後は他人の欲するものをそのまま欲するような個人主義・資本主義的な時代に変化していくだろう。

要約&学びのポイント解説

第42位「君主論」マキャヴェリ

【どんな本?】

西の「君主論」、東の「韓非子」とも言われる非常時のリーダーシップ論。マキャヴェリズムの言葉を生み、ローマ教皇庁によって禁書目録に加えられた。

リーダーシップに関する定番中の定番であり、古典中の古典。リーダーシップに関心のある人にとっては必読の一冊。菅義偉元首相の愛読書としても知られる。

【マキャヴェリの伝えたいこと】

非常時の君主に必要なのは、宗教的倫理や道徳に制約されない「ライオンのような勇猛さと狐のような狡猾さ」であり、君主は軍事と権謀術数に専念せよ。

要約&学びのポイント解説

第43位「代表的日本人」内村鑑三

【どんな本?】

日本における代表的な「リーダー&インフルエンサー」を、明治の初めに聖書との比較で欧米列強に紹介した「徳に基づく日本型リーダーシップ論」。代表的日本人として「西郷隆盛」「上杉鷹山」「二宮尊徳」「中江藤樹」「日蓮」の5人を挙げる。

「日本人とは何か」を理解する上で、同じ明治時代に英語で出版された「武士道」及び「茶の本」と並んで必読の書とされることが多い。

【内村鑑三が伝えたいこと】

欧米の皆さん!日本にもこんなに素晴らしい「徳に基づくリーダー」がいますよ!どうか分かってください!

要約&学びのポイント解説

第44位「スッタニパータ(ブッダのことば)」釈迦

【どんな本?】

数ある仏教の経典の中では最古であり、釈迦の思想及び最初期の仏教を最も正確に後世に伝えるとされる経典集。スッタは「経」、ニパータは「集まり」の意味。仏教思想の源泉を知るのに最適の一冊。

東洋における教養の教科書。後世への影響は計り知れない。どのような教養を身に付けるにせよ、東洋人である限り、「論語」と並んで本書は必読の入門書。現在の仏教の教義は複雑だが、釈迦が語った仏教の神髄は非常にシンプルなので、すっと心に落ちてくる。

【釈迦が伝えたいこと】

あらゆる現象や物質は独立した実体を持たず、無限の関係性の中で絶えず変化する。財産・名誉・健康・愛する人との関係等々、確かなものなど一つもない。

自己を制御し、あらゆるものへの執着、すなわち煩悩を捨て、極端を避けて中道を生きる者は、その言葉・心・行為によって苦悩から離れ、永遠の輪廻地獄から脱し、不死・平安・不滅なるニルヴァーナ(涅槃)の境地に達することができる。

※現代の大乗仏教にみられる偶像崇拝や祈祷・念仏の類について、釈迦は一切語っていない

要約&学びのポイント解説

第45位「経営者の条件」ドラッカー

【どんな本?】

「自分自身のマネジメント」を解説したピーター・ドラッカーの代表作。マネジメントの基本が極めて論理的に説明される「マネジメントの教科書」の古典中の古典。ドラッカーを読むなら、まずこの本から。経営者でなくとも、成果の出し方という点で、あらゆる人の参考になる。

【ドラッカーが伝えたいこと】

エグゼクティブ(経営者、知的労働者、マネージャー)の仕事は成果をあげることであり、その能力は後天的に修得できる。

時間を有効に使い、常に目的を意識し、自分と周囲の強みを活かし、最も重要なことに集中することが成果に直結する。

知識やスキルは重要だが、エグゼクティブの自己開発とは、真の人格の形成でもある。成果をあげることができるエグゼクティブは、知識や作業に留まらず、人格を形成し、自らの使命を認識することで、組織への貢献と自己実現の双方を実現するようになる。

要約&学びのポイント解説

第46位「ガリア戦記」カエサル

【どんな本?】

ガリア征服戦(BC58-)に関するユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)から元老院への戦況報告。ガリア総督としての戦果・リーダーシップ・正当性を簡潔かつ客観的に綴る。

カエサルの伝記、リーダーシップ実践論、ガリア戦の軍記、ラテン語文章の模範、いずれの側面でも最高クオリティの必読古典。人間臭いカエサルの自尊・興奮・不安・落胆・憔悴・辛抱・諦念・憤怒といった心の動きにも要注目。

【カエサルが伝えたいこと】

ローマの人々よ、ガリア総督に任じられた私(カエサル)は、類まれなるリーダーシップを発揮して、ガリアを平定しています!

要約&学びのポイント解説

第47位「エミール」ルソー

【どんな本?】

ルソー思想の集大成であり、教育学の古典中の古典。少年エミールがソフィーと結婚するまでの25年を「私」が見守り、助言し、文明社会によってゆがめられない自然人の理想を目指して指導するという哲学・道徳・教育小説。

『社会契約論』が民主主義を担保する制度論である一方、本書は民主主義を担保する教育論とも言える。ルソー自身は「私の最も価値のある最良の書」「20年の省察と3年の執筆の成果」と評価した。

教育に携わる人に限らず、お子さんを持つ全ての方におすすめ出来る教育論の定番。ドイツの大哲学者カントが、時間を忘れるほど熱中して読んだことでも知られる。

【ルソーが伝えたいこと】

子供とは「未熟な大人」ではなく、「子供」という自然の存在である。また、せっかく子供は「善い」存在で生まれてくるのに、社会が人間を堕落させる。よって、大人は子供を文明社会の悪影響から守りつつ、自然の発育段階に応じて教育するべきである。

誕生から15歳くらいまでは、理性も道徳も理解できないのであるから、まずは自分自身のために生きる「自然人」として教育すべきである。一方、分別の付く年齢に達したら、他者に対する思いやりや共感能力を育てる「社会人」として育てればよい。

また、子供には以下3種類の先生によって教育されるべきである。 ①自然(人間の先天的な能力や知性を引き出す教育) ②人間(親や教師による教育) ③事物(経験から学ぶ教育)

このようにして教育を受けた子供が、自由・平等を基本理念とする民主主義社会を担う人材となっていくのだ。

要約&学びのポイント解説

第48位「平家物語」作者不詳

【どんな本?】

平氏の栄華と没落、そして源氏の台頭を主題とした軍記物語。鎌倉時代に原型が完成。「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」の書き出しでも有名。前半は平清盛を中心とした平家の興隆と繁栄、後半は平家の都落ちと壇之浦での敗戦・滅亡までが描かれる。

よく「平家物語は軍記もの」「源氏物語は宮廷もの」と区別されるが、どちらも「栄華に驕れる者の没落」「因果応報」「無常観」といった仏教的要素が通奏低音として流れており、日本人としてはどちらも読んでおきたい古典の定番。

【本書が伝えたいこと】

あれだけ繫栄した平氏も、権力や奢侈に溺れてしまい、数十年で滅亡することになった。源氏側でさえ、義仲や義経のように、その権力に驕った者は落ちぶれていった。

世の中に永遠などなく、常に変化し続ける。源平合戦はそのような世の道理をよく表している。

要約&学びのポイント解説

第49位「茶の本」岡倉天心

【どんな本?】

明治の中頃、「茶道」を主題に、「日本人の高い精神性」「謙虚さ」「自然とシンプルさを愛する東洋的な心」を欧米に紹介した日本の文化論。

「日本人とは何か」を理解する上で、同じ明治時代に英語で出版された「武士道」及び「代表的日本人」と並んで必読の書とされることが多い。

【岡倉天心が伝えたいこと】

アジアで生まれた茶の文化は、全世界に敬意を持って受け入れられた、唯一の東洋の儀礼である。茶という面において、東洋は明確に西洋より優れている。茶はワインのように傲慢ではないし、コーヒーのように自意識も高くないし、またココアのような見せかけの無邪気さもない。

要約&学びのポイント解説

第50位「言志四録」佐藤一斎

【どんな本?】

幕末の儒学者佐藤一斎が、数十年にわたって書き継いだ「リーダーシップ論」。「人が自分にどのような態度・反応を示すかは、全て自分の心が整っているか否か次第である」といった箴言が多数並ぶ。西郷隆盛が島流しに遭っている間に本書を抜粋し、西南戦争で敗死するまで肌身離さず持ち歩いたという。

吉田松陰、坂本龍馬の愛読書であると同時に、西郷による抜粋版を献上された明治天皇は「朕は再び朕の西郷を得たぞ!」 と叫んだと言われている。明治維新の巨人を生んだ思想的背景が理解できる一冊。

【佐藤一斎が伝えたいこと】

災いは下からではなく、上から起こる。リーダー自身が徳を身に付け、自らを制御し、常に前向きに、情熱を持って部下を導かなければならない。

要約&学びのポイント解説

第51位「アメリカにおけるデモクラシーについて」トクヴィル

【どんな本?】

数多くの欠陥を抱えながらも、「一部の知識階級が蒙昧な民衆を支配する」というヨーロッパの常識を打ち破り、民衆自身が自由と権利を実現して国力を高めるアメリカの強さを分析した歴史的名著。

時にトランプのような奇抜な大統領を生み出し、右に左にフラフラ揺れながらも、なぜアメリカは世界No1であり続けられるのか、建国の歴史からその秘密に迫る。

【トクヴィルが伝えたいこと】

デモクラシー(多数派支配の民主主義)は構造的欠陥を多数持つが、全体としてそれ以上の「成果」を出すことができる。アメリカのデモクラシーに貢献している要素は主に以下の3つであり、影響力は(1)<(2)<(3)である。

(1)建国の諸条件
身分差のない平等さ、開拓で得た独立心、成功欲、権利意識

(2)法制の影響
連邦制、地方自治の諸制度、司法制度(特に陪審制度)

(3)習俗
政教分離、実利重視、政治への参加による経験教育

要約&学びのポイント解説

第52位「菜根譚」洪自誠

【どんな本?】

混迷する時代において、逆境をいかに乗り切るかを示した処世訓。明代末期の混沌とした時代において、形骸化した儒教道徳に「道教」や「仏教」の最良の部分を導き入れ、新しい命を吹き込んだ。

田中角栄(元総理大臣)、松下幸之助(パナソニック創業者)、野村克也(元プロ野球監督)ら、各界のリーダーたちから座右の書として愛されてきた「隠れた名著」。

【洪自誠が伝えたいこと】

人生で大切なことは、「才能(=スキル)や権力」ではなく「道徳(=人としての正しい道)」である。極端を避け、一歩引いた、自然とともに歩む人生を送ることが、幸福の秘訣である。

要約&学びのポイント解説

第53位「昭和16年夏の敗戦」猪瀬直樹

【どんな本?】

首相直轄の「総力戦研究所」は対英米戦のシミュレーションで日本必敗を結論付けていたにも関わらず、なぜ日本は戦争への道を進んでいったのか。主に開戦直前の半年を描き出すノンフィクション作品。

薄い文庫本なので、カフェあたりで一気に読んでしまえる。若手エリート同士の熱いぶつかり合いや、日本という国が誤った判断を下していく過程を生々しく描き出しており、どんどん引き込まれていく。シンプルに、オススメ。

【猪瀬直樹が伝えたいこと】

日本政府が開戦決定へと至ったプロセスと並行して、政府は日本必敗の結論を得ていた。日本人全員が軍国主義で頭がおかしかったわけでも、軍部だけが独走したわけでも、能力的に劣っていたわけでもない。

研究所の結論は若手がしがらみのない中で得たもので正確だった一方、報告を受けた内閣は全員が組織の代弁者であり、誰も責任を取ろうとしなかったのだ。

要約&学びのポイント解説

第54位「ソクラテスの弁明」プラトン

【どんな本?】

古代ギリシャの哲学者ソクラテスが裁判での被告の立場から「自分がアテナイで展開してきた哲学対話が何であったか」「何故そのようなことをしたのかに」ついて語った様子を、弟子のプラトン(当時28歳)が記録したもの。

ソクラテスが反対尋問で論理を積み重ねていく様子は見事であり、哲学や論理学に関心のある人にとっては必読の書。約2400年前に書かれたものとは思えないくらい、整然とストーリーが展開する。

【ソクラテスが伝えたいこと】

私の友人がデルフォイで「ソクラテス以上の知者はいない」という神託を受けた。一方、私は「神が間違いを言うはずがない」という信念のもと、自分より優れた知者を探すが、皆、自分は知者であると言うものの、実際大切なことは何も知らない。

そこで私は、同じ無知であれば、無知であることを自覚している自分の方が知者であるということに気が付いたのである(いわゆる「無知の知」)。

要約&学びのポイント解説

第55位「饗宴」プラトン

【どんな本?】

古代ギリシャの哲学者プラトンが、ソクラテスを含む複数名に「愛とは何か」を語らせる平易な演説集。副題は「エロスについて」。別著『国家』で本格的に展開されるイデア論も見られる。

合計6名が愛について演説するが、前半は演説技法が未熟か、レトリックに頼り過ぎであり、後半になるに従って、骨太な哲学的議論が展開される。

イギリスの哲学者ホワイトヘッドは「西洋哲学の歴史とはプラトンへの膨大な注釈である」と言ったが、まさに現代まで続く「愛に関する議論」が次々と展開されていく名著

【プラトンが伝えたいこと】 

エロスは、まずは肉体的な愛から出発し、やがて肉体を離れ、精神へ、そして最終的には美のイデアへと上昇していく。

要約&学びのポイント解説

第56位「古事記」太安万侶編纂

【どんな本?】

日本最古の歴史書。天武天皇の命でひえだのが口述し、元明天皇の命でおおのやすが編纂したとされる。720年に編纂された「日本書紀」とともに、神代から飛鳥時代までの神話と歴史を叙述する。

日本の多くの神様や天皇制の起源等について語られた初めての書物であり、その後の日本の社会や文化に与えた影響は計り知れない。神社へのお参りがちょっと楽しくなる、日本人なら必読の一冊。

【天武天皇が伝えたいこと】

現在の天皇家の祖先である神武天皇は、天と地上を支配するあらゆる神から力を受け継いでおり、この国を支配する正統性を持っている。

事実、神武天皇以降、歴代天皇は善政を敷いてきたではないか。今後も、この国の為政者には天皇家が相応しいのだ。

要約&学びのポイント解説

第57位「韓非子」韓非

【どんな本?】

徳で国家を統治する儒家思想に対し、乱世には徹底した法治主義・信賞必罰が必要と唱える。秦の始皇帝も感銘を受けた非常時のリーダーシップ論。西の「君主論」、東の「韓非子」とも言われ、両セットで読むとさらに面白い。

【韓非が伝えたいこと】

儒家は「徳」や「礼」を重視するが、平均的な君主が、打算的で利己的な人々を治めるのが世の常だ。平均的な君主が国を治めるには、法律を整備し、徹底的に臣下の仕事を管理し、権力と地位が維持できる仕組みを確立することが大切だ。

平和で生活水準の低かった古代であれば仁や徳は機能したかもしれないが、今の乱世は食うか食われるかの状況だ。世の中を「善い」とか「悪い」とか判断しても無益であって、力のみが支配する目の前の現実を見なければならない。

要約&学びのポイント解説

第58位「運命を創る」安岡正篤

【どんな本?】

昭和の知の巨匠、安岡正篤が「徳」と「修養」の大切を説く人間学入門。安岡は昭和の名宰相とされる佐藤栄作首相から、中曽根康弘首相に至るまで、昭和歴代首相の指南役を務めた。

「大局観を持った教養人」のロールモデルともいえる安岡の代表的著作として必読。本書のほか「活眼活学」「人物を修める」の3冊をまとめて読むと、安岡の思考・思想を網羅的に追体験できる。

【安岡正篤が伝えたいこと】

日本人は終戦後、堕落してしまった。徳や大局を忘れ、経済発展のみにひた走っている。人間を人間たらしめている本質的要素は「徳」や「修養」であって、明治以降の近代教育が詰め込んできた「知性」や「技術」は、あればあっただけ良いが、単なる付随的要素でしかない。日本人よ、今こそ徳と大局を見つめ直せ。

要約&学びのポイント解説

第59位「チーズはどこへ消えた?」S・ジョンソン

【どんな本?】

自分の望むものを手に入れるためには、環境の変化に対応しなければならないと説く実利的な短編寓話。人や組織が環境の変化に直面したときの「あるある」を豊富に提示し、採るべき行動を示唆する。

世界で2800万部、日本で400万部を売り上げた大ベストセラー。エンゼルスの大谷翔平が愛読書として本書を挙げたため、再び注目されている。ただし、本書はあくまで「望むものを手に入れるためにはどうすれば良いか」を説いた実利的な本であって「チーズを追い続ける人生に意味などあるのだろうか」といった哲学的な問いを持つ人には向かない。

【ジョンソンが伝えたいこと】

世の中は常に変化している。その変化に出来るだけ早く気付き、リスクを取って行動を起こさなければ、自分の望むものは手に入らない。さあ、変化を楽しもう。自分を変えよう。

要約&学びのポイント解説

第60位「方法序説」デカルト

【どんな本?】

「神が無条件で正しい、教会が無条件で正しい」という世界観を打ち破り、人間でも思考によって真理にたどり着けることを主張した、まさに近代哲学の第一歩と言える記念すべき一冊。

近代哲学を理解する上では避けて通れない必読の書。「我思う、故に我在り」を知らずして、デカルト以降の哲学者を理解することはできない。

【デカルトが伝えたいこと】

この世の中にある、ありとあらゆる疑わしいものを排除したとしても、その疑っている主体の存在は神ですら否定できない。

この事実は誰でも「そうだ」と言える真理であって、あらゆる思考の第一歩として良いはずである。

要約&学びのポイント解説

第61位「源氏物語」紫式部

【どんな本?】

平安時代中期に紫式部によって書かれた長編小説。全54巻。天皇の子として才能・容姿ともに恵まれながら、臣籍降下して源氏姓となった光源氏を通して、恋愛、繁栄と没落、権力闘争など、平安時代の貴族社会を描く。登場人物は約500人、詠まれる和歌は約800に及ぶ。

人物描写やプロットの組み立て方等において、それまでの「竹取物語」や「宇津保物語」と比べて卓越した文学作品として評価が確立している。海外でも多数翻訳されており、日本人として身に付けておくべき教養の一つと言える。

【紫式部が伝えたいこと】

人間というものは権力・財産・異性への欲求にまみれているが、自分の為した過ちは、巡り巡って必ず自分に返ってくるし、また仮に望むものを手に入れたとしても、油断するとそれらはすぐに手の中からこぼれていく。

諸行は無常であり、必ず栄枯盛衰を伴う。光源氏の一生とその子孫を見ると、それがよく分かるではないか。

要約&学びのポイント解説

第62位「論語」孔子

【どんな本?】

言わずと知れた古典中の古典。約2500年前の聖人、孔子の教えをまとめた儒教の根本文献。人としての生きる道や、国の政治の在り方について論じられている。

東洋における教養の教科書。後世への影響は計り知れない。東洋人である限り、どのような教養を身に付けるにせよ、「スッタニパータ(ブッダのことば)」と並んで本書は必読。論理や理性を尊ぶ観念的な西洋哲学より、実践を尊ぶ実用的な学問なので、我々東洋人には理解しやすい。

【孔子が伝えたいこと】

世の中が乱れているが、法律や刑罰を厳しく適用するのは対処療法的で抜本解決に繋がらない。時間が掛かってでも、個々人が「徳(人徳・人間力)」と「才(知識・スキル)」を身に付けて行動することが、根本治療に繋がる。

「徳」と「才」の両方を身に付けた人を「君子」と呼び、「才」だけしか身に付けていない人を「小人」と呼ぶ。人は君子を目指すべきである。

要約&学びのポイント解説

第63位「モモ」エンデ

【どんな本?】

ドイツ人作家ミヒャエル・エンデによる長編童話。1974年にドイツ児童文学賞を受賞。現代社会の枠組みから外れた不思議な少女「モモ」が、時間泥棒に奪われた現代人の時間を取り戻す冒険ファンタジー。

「時間の使い方」に関する自省を促すという要素はもちろんのこと、モモと灰色の男たちとの手に汗握る攻防は、大人が読んでも十分に楽しめる。児童文学の中でも深い学びが得られる名作中の名作。

【エンデが伝えたいこと】

現代人は常に時間に追われて忙しくしている。「将来のため」「よい暮らしのため」と言うが、これでは生きることの意味や喜びを見失っている。「時間泥棒」を生み出したのは、効率ばかりを追う現代人自身なのである。

要約&学びのポイント解説

第64位「南洲翁遺訓」西郷隆盛

【どんな本?】

西郷隆盛を慕う庄内藩士が、西郷の言行をまとめたもの。西郷は著書を遺さなかったため、西郷の思想を知るための唯一と言ってもよい貴重な一冊。

あの勝海舟をして「恐ろしいくらいの大人物」と言わしめた西郷隆盛の政治・経済・外交・人としての生き方に関する大局観が、縦横無尽に展開される。視野がぱっと開けるような、読んでいてワクワクする一冊。

【西郷隆盛が伝えたいこと】

正道(正しくて道理のあること)は天が示している。その天を敬い、周囲の人を愛し、自らを謙虚に制御することこそが、人として生きる道である。生きる指針は他者からの評価ではなく、正道に則っているかどうかだ。

要約&学びのポイント解説

第65位「永遠平和のために」カント

【どんな本?】

「人はどうすれば道徳的に生きられるか」という哲学的命題を、「世の中から戦争をなくすにはどうすればよいか」という政治的命題に拡張した哲学的平和論。

ヨーロッパを代表する大哲学者のカントが、18世紀の時点で、国際連合や自由に人が行き来できる経済圏の創出といった現代に通ずる解決策を提示。平和論の古典中の古典。

【カントが伝えたいこと】

人間は生来的に争いを好む傾向があるので、この世の中から戦争をなくすことは不可能である。しかし、「永遠平和状態」という理想を想定し、実現に向けて努力することは必要だ。

それは、人間が完全に道徳的であることは不可能だが、道徳的に生きようと努力しなければならないことと同様である。

要約&学びのポイント解説

第66位「氷川清話」勝海舟

【どんな本?】

新聞や雑誌に掲載された勝海舟の談話を、明治25~31年頃に吉本襄(のぼる)がまとめたもの。幕末の大御所勝海舟が、伊藤博文や陸奥宗光等の明治維新の偉人たちを「俺の方がうまくやれる」と上から目線でぶった斬り、大局観を示しまくる、痛快エッセイ集!

【勝海舟が伝えたいこと】

政治に必要なのは至誠奉公の精神だ。明治維新後の政治家にはその精神がなく、嘆かわしい。維新で近代化と言っているが、幕府時代の方が良かったことも多いのではないか。

要約&学びのポイント解説

第67位「ツァラトゥストラはこう言った」ニーチェ

【どんな本?】

「神は死んだ」のフレーズが特に有名。人間は「神の前での平等」や「隣人愛」等のキリスト教的価値観に囚われることなく、先天的に持つ「力への意志」に基づいて自らの人生を高揚させるべきだと説いたニーチェの代表作。

ニーチェはこの本を「人類への最大の贈り物」と自負し、聖書のような存在になることを企図して物語風に仕上げたため、若干趣旨が理解しにくい面もある。

ニーチェを読むなら、まず「善悪の彼岸」でニーチェ哲学の要点を押さえ、その後「ツァラトゥストラ」でその世界に浸り、最後に「この人を見よ」でニーチェ自身とともにニーチェ哲学を振り返るのがオススメ。

【ニーチェが伝えたいこと】

キリスト教の道徳や善悪は、弱き者が強き者を嫉妬した「ルサンチマン」から生まれたものだ。 隣人愛と平等=善、自己愛=悪という構図は人類を無価値な存在とし、「ニヒリズム」に至らせる。

また、世界は永遠に同じことを繰り返しているだけの「永遠回帰」であり、一見するとそこには生きる意味など見いだせない。

しかし、それではダメだ。まず、人生に意味などないということを前向きに受け入れ、いまこの瞬間を肯定しなければならない。そして、より強くなりたいという「力への意志」を貫き、自分の人生を主体的に高揚させる「超人」にならなければいけない。

そうすれば、何度でも自分の人生を繰り返したいと思えるだろう。そして、不幸を含めたあらゆる運命を「自分の意志で望んだのだ」と受け入れられるだろう。

道徳や善悪の基準は、神にも隣人にも教会にもなく、唯一「自分の生が高揚するかしないか」という点にある。人生をどう捉えるか、どう生きるか、すべては自分の意思次第なのだ。

要約&学びのポイント解説

第68位「修身教授録」森信三

【どんな本?】

昭和の大哲学者森信三が、戦前の師範学校で16~17歳の生徒を対象に担当した「修身」の授業録。

戦後の占領政策で失われてしまった、古き良き日本の道徳教育(仁・義・礼・智など)の雰囲気を感じられる定番の一冊。

※「修身」とは旧制の学校の道徳に関する教科のこと。英語でいう「Moral Science」で、福澤諭吉が日本語に訳出。福澤著『学問のすすめ』では、「修身学とは身の行いを修め、人に交わり、この世を渡るべき天然の道理を述べたるものなり」と定義されている。

【森信三が伝えたいこと】

人生に二度目はない。自分の力を常に余すところなく発揮し、目の前の仕事に打ち込み、懸命に生きることこそ「修養」である。

病気にしても出会いにしても、自分の制御が及ばない要素は天命として粛々と受け入れ、感謝することが最善の態度である。

要約&学びのポイント解説

第69位「逝きし世の面影」渡辺京二

【どんな本?】

欧米人による記録をもとに、江戸末期の(=欧米化される以前の)日本文明を解き明かす。

「日本本来の文化・習慣とは何なのか」を学びたい人におすすめ。特にグローバルに活躍する上で、自国固有の文化・習慣を学ぶことは必須。本書はそのための一級品の記録が並ぶ。日本人が読むからこそ、新鮮な気付きが得られる良書。

【渡辺京二が伝えたいこと】

江戸末期、日本が有機的個性として育んできた一つの文明が滅んだ。欧米化される前の日本人は、のびのびと自由に、礼節を持って、貧富の差も少なく、概ね幸せに暮らしていた。多くの欧米人による記録を紐解くと、客観的にその事実を認識することができる。

要約&学びのポイント解説

第70位「21 Lessons」ハラリ

【どんな本?】

『サピエンス全史』で人類の過去を、『ホモデウス』で未来を描いたユヴァル・ノア・ハラリが、ついに現在に焦点を当てる。テクノロジーが急激に発展するいま、私たちは何を考え、何を為すべきか。

21世紀の知の巨人が、歴史・技術・政治・経済等の観点を横断的に俯瞰して将来を予測し、人間の存在意義を問う珠玉の一冊。

【ハラリが伝えたいこと】

AIとバイオテクノロジーとビッグデータの融合により、社会は変化する。

大勢の「無用者」が生まれ、データを制する者が富や権力を制し、人間の心は全てアルゴリズムで把握され、説明されるであろう。

これらはグローバルな課題である。宗教やナショナリズムは何の役にも立たない。人間は謙虚に、これらの課題に向き合わなければならない。

これまでの歴史において、人々は宗教やナショナリズムのような「物語」を信じることで、人生の意味を見出してきた。一方、自由意志は生きる意味を自分に求め、仏教は生きる意味を追わないことにした。しかし今後は、アルゴリズムが人間の生化学的反応をすべて把握するようになるだろう。

人類は何に対して生きる意味を見出すのか。人類に残された時間は少ない。

要約&学びのポイント解説

第71位「アメリカの鏡・日本」ミアーズ

【どんな本?】

アメリカ人の目から見た満州事変~第二次世界大戦(太平洋戦争)の戦略的意義を生々しく語る。

「戦後、米英はソ連の脅威を語るが、ソ連を抑止するための緩衝国家たる満州国を認めず、結果として優秀な同盟国を失ったのは愚策だった。満州国は承認されるべきだった」など、日本の歴史教育では決して出会わないアメリカの戦略眼が次々展開される非常に学びの多い一冊。

【ミアーズが伝えたいこと】

第二次世界大戦において、戦勝国は日本を「好戦的で残虐」と裁いたが、その日本が手本としたのは欧米列強である。日本は、欧米列強が世界に進出し、侵略し、収奪した歴史を映す鏡そのものである。

要約&学びのポイント解説

第72位「般若心経」

【どんなお経?】

大乗仏教の経典『大般若経』600巻のエッセンスを262文字に凝縮。釈迦が到達したとされる真理を含めて、それまでの仏教で信じられてきた教義を否定しまくるロックなお経。

何しろこれ一冊で仏教の神髄が理解できるのだから、読まない手はない。幅広い教養の一つとして、押さえておきたい。なお、般若心経はApple創業者のスティーブ・ジョブズや、元ビートルズのジョン・レノンにも大きな影響を与えた。

【般若心経が伝えたいこと】

「完全なる智慧」から見れば、世の中のあらゆる現象や物質は実体を持たず、 無限の関係性の中で絶えず変化するものであって、人間が持つ苦悩や災いなど、そもそも無い。だからあなたは苦しむ必要などないのだ。

要約&学びのポイント解説

第73位「この人を見よ」ニーチェ

どんな本?】

「神は死んだ!」とキリスト教を全面否定し、「生の高揚」という新しい道徳を説いたことで知られるニーチェが、発狂寸前に完成させた自伝。

自身の著作を総括するため、ニーチェ哲学の全体像を掴むには最適の一冊。ニーチェに関心を持ったら、まず「善悪の彼岸」でニーチェ哲学の要点を押さえ、その後「ツァラトゥストラ」でその世界に浸り、最後に「この人を見よ」でニーチェ自身とともにニーチェ哲学全体を振り返るのがオススメ。

なお、書名の「この人を見よ(Ecce homo)」は、ヨハネによる福音書からの引用。ローマ帝国のユダヤ総督ピラトが、処刑前のイエス・キリストを嘲笑するユダヤ人たちに向けて言った言葉。

【ニーチェが伝えたいこと】

私は「キリスト教の道徳を破壊し、新しい価値観を提示する」という人類史上最大級の仕事をやってのけた。しかし、世の中の理解がまだ追いついていない。私が独創的過ぎたのだ。

平等や隣人愛を求めるのは自分が弱者である証拠だ。それを賛美してどうする。利他の精神は美しいが、自分はどこへいったのだ。あなたはどうやって生きたいのか。

自分の人生が何度繰り返されることになっても、それでもなお自分の人生を選べるように、自分の人生にイエスと言えるように生きなければならない。それこそが救済である。

ああ、私の言っていることは理解されているだろうか。

要約&学びのポイント解説

第74位「老子」「荘子」老子・荘子

【どんな本?】

「上り坂の儒家、下り坂の老荘」のとおり、何事にも「前向き&改善」を志向する儒家に対して、何にも執着せず、とにかく自然のあるがままの姿であることを説く。

良い政治の序列は「無為(道家)>仁徳(儒家)>恐怖(法家)」とされており、それぞれに対応する「老子・荘子」「論語」「韓非子」を読み比べるとさらに理解が深まる。

【老子・荘子が伝えたいこと】

人間は自ら苦しみを生み出す存在である。あらゆる人為を捨て、自然のあるがままに、つまり無為自然に生きることが最善の道だ。

世界における万物の相違などは意味を持たない。あらゆるものは、それが存在する以上、存在する理由と価値があるのだ。

「大言壮語はするが実用性に乏しく、現実味がない」と批判されることもあるが、それは我々の思想が高邁過ぎて凡人には理解できないだけだ。

要約&学びのポイント解説

第75位「方丈記」鴨長明

【どんな本?】

枕草子、徒然草と並ぶ日本三大随筆の一つ。「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」という書き出しで有名。この世の無常と生きづらさ、そして世俗を離れた自身の生活を生き生きした文体で著すが、最後には「悟りきれない」自分を反省する。

面白いことに、古代ローマ皇帝アントニヌスも著書「自省録」の中で「すべての存在は絶え間なく流れる河のようであって、その活動は間断なく変わり、その形も千変万化し、常なるものはほとんどない」と鴨長明と全く同じことを言っている。両書を読み比べて「諸行無常」を学ぶのもおすすめ。

【鴨長明が伝えたいこと】

世の中に確実なものなど一つもなく、都での生活・社会的地位・財産・人間関係等にあくせくと執着するのは愚かなことである。

だから私は世俗を離れ、狭い庵で質素かつ自由気ままに暮らしたのだが、それもそのような生活に執着していただけであった。人生とは何とも悟りきれず、難しいものだ。

要約&学びのポイント解説

第76位「遺伝子の社会」ヤナイ

【どんな本?】

最新の進化生物学研究の成果を背景に、遺伝子たちが生存への闘いの中でどのように協力・競争しているかを包括的に展望する。

遺伝を中心とする進化生物学の視点から、人間とは何か、生きるとは何かについて改めて考えさせられる一冊。「日本人とドイツ人よりも、アフリカの部族間ほうが遺伝的な距離が遠い」といった興味深い科学的事実も語られる。

【ヤナイが伝えたいこと】

リチャード・ドーキンスは著書『利己的な遺伝子』で「生物とは遺伝子と呼ばれる利己的な分子を保存するべく盲目的にプログラムされたロボット機械である」と主張した。

この概念はさらに押し進めることができ、遺伝子は将来の世代における優位を巡って、相互に作用し、激しく競い合い、協力し合っており、それは「遺伝子の社会」と呼べるほどである。

要約&学びのポイント解説

第77位「プラグマティズム」ジェイムズ

【どんな本?】

「世の中には絶対的真理が存在する」という哲学的抽象論に終止符を打ち「現実生活で実際に役立つかどうかが、理念や概念の真偽を決める」とするアメリカ的実用主義のバイブル。

論理や思考を積み重ねて真理に至るヨーロッパ的思想でも、人間としてあるべき姿を経験から導く東洋的思想でもない、まさにアメリカ的功利主義を理解するために必読の定番教科書。思考の幅が必ず広がる一冊。

【ジェイムズが伝えたいこと】

簡単に表現するなら「形而上学的で抽象的な理念論を排し、現実世界でどれだけ有用であるかをもとに、ある概念が正しいか否かを判断する」という哲学。「唯一の真理を追求するのをやめる」「現実世界で役に立たない概念は、何らの意味も持たない」とする。

方法Aと方法Bがあった場合、事前にどちらが観念的に正しいかを議論しても結論は出ない。現実生活で、より報いてくれる方法が正しいとするような考え方。例えばキリスト教が正しいかどうかは、それを信じた人が幸福な人生を送っているかが決める。

ダーウィンの進化論(1859年)やニーチェの「神は死んだ」の宣言(1882年)で、唯一絶対の神や真理に対する信頼が揺らぎ、科学vs神学の論争に発展した19世紀後半に誕生した。

当時のアメリカでは社会の多様化が進んでおり、「常識」でも「哲学」でも「科学」でもなく、普遍的に共有できる価値観(=プラグマティズムの場合は有用性)が求められる土壌にあった。

要約&学びのポイント解説

第78位「善の研究」西田幾多郎

【どんな本?】

「哲学」という概念がなかった明治日本において、論理重視の西洋思想と自身の禅体験を融合し、主観・客観が分離する以前の原初的な「純粋経験」を実在とするという独自の立場を創造した、日本最初の哲学書。

カントの純粋理性批判と並び、とにかく「難しい」と言われるいわくつきの骨太本。しかし、西洋思想と東洋思想の融合に挑戦した日本初のオリジナル哲学は、思考や教養の幅を広げること間違いなし。本サイトでは、詳細な注釈と解説がついた講談社学術文庫版(小坂国継注釈)をオススメする。

※第3編「善」・第4編「宗教」が西田の言いたいこと、第1編「純粋経験」・第2編「実在」が西田哲学の理論的基礎となっているので、第3編から読むと読みやすい(西田自身も第1編は省略してよいと言っている)

【西田幾多郎が伝えたいこと】

善とは一言でいえば「人格の実現」である。人間の本性及び宇宙の統一原理は同一であって、そこには後天的な知識や判断の影響を受けない普遍的な「意志」が存在する。その意志を実現することが人格の実現であり善の実践である。

「この世界がどうあるか」「人間はどう生きるべきか」という実在を知るには「純粋経験(≒直感)」が必要であるという点は西洋哲学的(イギリス経験論)であるし、その究極が「知的直観(≒自分と宇宙が一致する梵我一如)」であるという点は東洋哲学的(ウパニシャッド哲学)である。

要約&学びのポイント解説

第79位「オイディプス王」ソポクレス

【どんな本?】

古代ギリシャ三大悲劇詩人の一人であるソポクレスが、紀元前427年ごろに書いた悲劇。主人公オイディプスは、先王殺害の真犯人を探究していった結果、自分が父を殺して母を妻とするという神託の予言が知らぬ間に実現しているという恐るべき真実を発見する。

アリストテレスが悲劇における最高傑作の例として挙げており、父殺し・近親相姦・出生の秘密等、悲劇的要素がふんだんに詰まっている。フロイトが提唱した「エディプス・コンプレックス*」の語源。欧米知識人の間で共有されている教養の一部となっている一冊。

*エディプス・コンプレックス
男児が無意識のうちに同性である父を憎み、母を性的に思慕する傾向のこと。エディプスはオイディプスのドイツ語読み。

【ソポクレスが伝えたいこと】

過去にどれだけ英雄ていな行為を為したとしても、些細な言い争いから衝動的に老人を殺したり、占い師から不都合な事実を突きつけられて感情的に怒りをぶちまけたり、真実を見ようとせず短絡的に身内を死刑にしようとしたりするような傲慢で軽率な人間に待っているのは、悲劇的結末のみである。

要約&学びのポイント解説

第80位「重職心得箇条」佐藤一斎

【どんな本?】

幕末の儒学者佐藤一斎による「リーダーの心構え17箇条」。「リーダーたるもの、部下の能力が足りなかったり、人物的に好かなかったりしても、気持ちよく仕事をさせるように努めなければならない」など、現代のマネジメントにも通用するリーダーシップの本質を、簡潔にスバスバと示していく。

西郷隆盛や勝海舟に大きな影響を与えたほか、小泉内閣では総理から全閣僚に配布された。そのリーダーの必読書を、昭和の知の巨人安岡正篤が解説するという、二重に必読の一冊。

【佐藤一斎が伝えたいこと】

リーダーに必要なことは、主に以下の5点である。

①常に大局を見る余裕を持ち、冷静沈着さと大きな度量を兼ね備える

②仕事が出来なかったり気に入らなかったりしても、部下を信用して仕事を任せ、褒めるべきは褒め、指導すべきは指導し、能力が発揮できる環境を整える

③仕事の重要度と緊急度を正しく見定め、関係者間で情報を共有し、本当に重要な仕事だけを、無駄を省いて効率的に進める

④問題の細かいところに入り込まず、広い視野で多角的に、高い視座で長期的に、深い思考で合理的に判断を下す

⑤時代の大きな流れに逆らわず、古い慣習に縛られず、その時の状況に合わせて柔軟に考え方を変化させる

要約&学びのポイント解説

第81位「孫子」孫武

【どんな本?】

クラウゼヴィッツ『戦争論』と並ぶ兵法書の最高峰。戦いに勝つには、あるいは負けないためにはどうするべきかが端的に書かれている。

原文はわずか6,000字に過ぎないが、2500年以上の時を超え、ビル・ゲイツや孫正義も愛読。日本人が弱いとされている「戦略」に関する教科書として、現代のマネジメントに活かしたい人には最適の一冊。

【孫武が伝えたいこと】

戦争の本質は、情勢分析と詭道(だまし討ち)である。

自軍と敵軍の状況を的確に分析・比較すれば、事前に勝敗は分かる。また、戦うにしても、戦争は莫大なコストがかかるため、その後の国家運営を考えれば、自軍の損害は最小化すべきである。そのためには詭道を駆使することを避けて通れない。

要約&学びのポイント解説

第82位「福翁百話」福沢諭吉

【どんな本?】

福澤諭吉が1896年から1897年にかけて新聞「時事新報」に連載した100のエッセイ集。自宅に来た客人に対して話した数々の「生き方論」を福澤自身が文字に起こしたもの。

論客福沢諭吉が、世の中の森羅万象を斬りまくる。内容もさることながら、文章の全体構成、論理性、テンポ、比喩表現など「分かりやすい文章のお手本」にもなり得る。教育について数多く振られているので、慶應幼稚舎・慶應横浜初等部を受験する親御さんは必読では。

【福沢諭吉が伝えたいこと】

人類の歴史は浅く、文明も人間の知徳も甚だ不十分である。しかし、少しずつ前進していることは間違いない。

遥か宇宙から見れば、今を生きる人類など小さな存在ではあるが、学問をし、社会的にも経済的にも独立し、健康に留意し、他人と調和して懸命に生きて文明を前に進めることは尊く、人間にしかできないことである。

中でも教育は大切である。 学校で学問を修めて社会に出ることは、武術において基本的な「型」を学ぶことに等しいのだから、貴賤・貧富・男女にかかわらず、子供には金を惜しまずに教育を施すべきだ。ただし、人の能力はある程度遺伝で決まるのだから、生まれ持った能力を全て正しく開花させるのが教育であると心得るのが正しいだろう。

人付き合いにおいては、完璧な人間など存在しないことを肝に銘じ、自らの品格と教養を磨きつつ、他人の欠点は咎めず磊落に受け入れるくらいの度量が必要である。

要約&学びのポイント解説

第83位「思考は現実化する」ナポレオン・ヒル

【どんな本?】

鉄鋼王カーネギーから依頼を受けた*筆者が、成功者に共通する資質や行動を20年かけて「17のゴールデンルール」に体系化した成功ノウハウ本。1937年の刊行以来、世界で1億部以上売れたと言われている歴史的大ベストセラー。

*カーネギー側はこの事実を認めていない

若干精神論に偏った記述も見られるが、「17のゴールデンルール」には、時代や社会背景を超えた普遍的な成功パターンが含まれており、自己啓発本の古典的名著と言って差し支えないクオリティと言える。

【ヒルが伝えたいこと】

具体的な目標とそこに至るプロセスを何度も何度も「思考」することによって、その目標は「現実化」する。これまでの成功者は、共通して「正しいマインドセット」「正しい行動」「正しい人間関係」に関する17個のルールを実践していた。

要約&学びのポイント解説

第84位「歎異抄」唯円

【どんな本?】

浄土真宗の開祖親鸞の死後、信徒の間に種々の「異」説が出たことを「歎」いた弟子達が、正しい教義を示すために編纂した「抄(=注釈書)」。「悪人こそ救われる!」「親の供養なんかしないぜ!」など、既存の仏教や道徳をぶち壊すロックで過激な教えを展開する。

西田幾多郎、吉川英治、遠藤周作といった数多くの思想家に影響を与えたほか、司馬遼太郎をもってして「非常にわかりやすい文章で、読んでみると真実のにおいがする」「無人島に1冊の本を持っていくとしたら『歎異抄』だ」と言わしめた仏教界の異色の名著。

【唯円が伝えたいこと】

末法思想の世の中で、戦乱や疫病も流行っていますが、一般大衆の皆さん、ご安心ください。善人だろうと悪人だろうと、阿弥陀仏に頼って「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えれば、厳しい修行をしなくても、極楽浄土に行けますよ。

人が善人になるか悪人になるかは、前世からの因果で決まっているのです。だから「自分は善を積んでいるから浄土に行けるだろう」などと考えるのは間違いです。むしろ、全てを阿弥陀仏に頼り切れる悪人の方が極楽浄土に行けるのです。

ただし、だからと言って進んで悪事を働くようなことをしてはいけませんよ。ただひたすら、念仏を唱えさえすればよいのです。

要約&学びのポイント解説

第85位「活眼活学」安岡正篤

【どんな本?】

昭和を代表する知の巨人「安岡正篤」の呼び掛けによって結成された「全国師友協会」の機関誌に安岡自身が投稿した論考集。東洋思想をベースに、物事を「長期的」「多面的」「本質的」に理解する手法を説く。

西洋では概念的・論理的な知識や思惟を尊び、東洋では深い直観を含んだ智慧とを尊ぶ。これらを融合・発展させることが重要」というフレーズに安岡哲学の神髄が見える。本書のほか「運命を創る」「人物を修める」の3冊をまとめて読むと、安岡の思考・思想を網羅的に追体験できる。

【安岡正篤が伝えたいこと】

西洋では自然と人間を対立関係と捉え、人間、その中でも自分こそが最も大切な存在であると考える。

一方、東洋の思想では、自然の摂理の中で、天から与えられた能力を完全に発揮し、同時に道徳を実践していくことこそが、人間の生きる意味と考える。

目の前で起きていることに一喜一憂せず、長い目で見て、正義を守り、徳を積むべきだ。

要約&学びのポイント解説

第86位「歴史入門」ブローデル

【どんな本?】

歴史を史実の羅列ではなく、3つの時間軸(地理的(長期)、社会的(中期)、個人的(短期))と3つの階層(日常生活、市場経済、資本主義)で捉え、歴史学に変革をもたらしたブローデルの入門書。

年号暗記に慣れ親しんだ日本人には、目からウロコの歴史解釈が続く。ブローデルが提唱した「長期の地理的時間軸」で書かれた大ベストセラーが、ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」と言える。歴史に関心のある人にとっては、E・H・カーの「歴史とは何か」と並ぶ必読書。

【ブローデルが伝えたいこと】

歴史は、瞬く間に過ぎていく個人史及び出来事史という「短期」、ゆっくりとリズムを刻む社会史である「中期」、最も深層において、ほとんど動くことのない自然や環境、構造という「長期」があり、特に「長期」を重視すべきだ。

例えば産業革命も、それ単体で見るのではなく、その下層部にある日常の経済生活や市場経済、周辺部にある奴隷制や農奴制等の在り方など、産業革命に至る長期的流れと合わせて把握すべきである。

要約&学びのポイント解説

第87位「人生論ノート」三木清

【どんな本?】

京都学派の哲学者三木清が、戦時下全体主義の日本であえて「個人の幸福とはなにか」を主題に、雑誌「文學会」に連載した人生論。幸福のほか、成功・希望・虚栄・嫉妬・死などの普遍的なテーマについて語られる。

戦後すぐにベストセラーとなり、新潮文庫版は現在までに100刷以上を重ねている名著。ただし、難解な表現も多く出てくるため、本書についてよく理解されたい方には、「嫌われる勇気」の著書としてお馴染みの岸見一郎が書いた「三木清『人生論ノート』を読む」(白澤社)をお勧めする。

【三木清が伝えたいこと】

日本は戦争に向かって全体主義傾向が強くなっているが、個人の希望や幸福を失ってはいけない。希望を持ち、幸福を追うことは徳そのものであり、人生そのものである。

また、個人の幸福を国家全体の目的の為に犠牲にしてはならない。各個人が、周囲に流されず、周囲に強制されず、自分の人生を主体的に描いていかなければならない。

要約&学びのポイント解説

第88位「宋名臣言行録」 朱熹

【どんな本?】

北宋時代の宰相・大臣クラスが残した箴言集。朱子学の開祖でもある朱熹が編纂。唐代の「貞観政要」と並び立つ中国古典の金字塔。明治天皇もご愛読。

大きめの組織に属して仕事をしている人や、自分以外にも苦労している人がいることを知りたい人には特におすすめ。お気に入りのエピソードが必ず見つかるはず

【朱熹が伝えたいこと】

本書は、中国における正式な「宋名臣言行録」75巻のうち、朱熹自身が編纂した北宋八代150年分の24巻分から抜粋したもの。朱熹の方針により、王安石の新法(中小農商工者を手厚く保護する社会主義的政策)に反対する穏健保守派の名臣を中心に取り上げられている。

エリート同士の足の引っ張り合い、能力を正当に評価されない左遷、官僚主義者から破天荒な者まで、雑多なエピソードの寄集めであり、一貫した主張があるわけではない。

要約&学びのポイント解説

第89位「モンゴル帝国の歴史」杉山正明

【どんな本?】

膨張政策を取る国家の「あるある」がふんだんに詰まったモンゴル帝国の歴史を、単なる事実の羅列ではなく、ストーリーとして語る名作。

壮大なモンゴル帝国の歴史が活き活きと語られる。モンゴル帝国は、キリスト教国、イスラム教国、中国、そして日本まで相手にしており、「次はどうなるのか!」と先が気になり、読み出したら止まらない一冊。

【杉山正明が伝えたいこと】

モンゴル帝国は13世紀という時代において、陸と海にまたがる壮大な世界支配システムを構築した。

これは歴史上特異なことであるが、その本質を理解するためには、ヨーロッパや中国の視点からモンゴルを眺めるのではなく、モンゴル帝国主体の視点で歴史を見る必要がある。

要約&学びのポイント解説

第90位「人物を修める」安岡正篤

どんな本?】

昭和を代表する知の巨人「安岡正篤」による住友生命役員向け「人間学」の講演録。理性や論理といった西洋思想をもとに科学技術は発展したが、それを制御するのは徳や善といった東洋思想であるとする安岡哲学の基本教科書。

仏教・儒教・道教のうち、「徳」の涵養や「人間学」にとって有用な教えが解説されている非常にお得な一冊。本書のほか「運命を創る」「活眼活学」の3冊をまとめて読むと、安岡の思考・思想を網羅的に追体験できる。

【安岡正篤が伝えたいこと】

日本は四方を海に囲まれ外敵に攻められることなく、万世一系の天皇を戴いて歴史を重ねてきた。良く言えば生一本な国民性だが、悪く言えば単純で戦略性がない。

その点、中国は四方を異民族に囲まれ、人間的にはまさに老獪である。日本人は中国人、ないしは中国に源流を持つ東洋思想に学ぶべき点が多くある。

本物の学問というものは、人間学、人格の学問、叡智の学問が本体で、知識・技術の学問はそこから出て来るものである。全人格的なものでなければ、本当の学問とは言えない。元来、東洋の学問は全人格的なものだった。

要約&学びのポイント解説

第91位「原因と結果の法則」アレン

【どんな本?】

いわゆる「自己啓発本」の古典中の古典。「私たちの人生は、すべて私たちの思考や心の持ちようの結果である。まずは自分が変わりなさい」という内容を、科学的というよりは、ややスピリチュアルな語り口で説く。後世の自己啓発本に大きな影響を与えた。

本書の原題は “As a man thinketh”。これは旧約聖書『箴言』の “as a man thinketh in his heart, so is he”(人は、心の中で思考したとおりになる)から来ており、原題の方が邦題よりも内容を的確に表している。

「人生には偶然は一切なく、全てが必然である」といったあたりは、やや原理主義的で、アレルギー反応を起こす人がいるかもしれないが、「すべては自分次第」というメッセージは分かりやすく、現代まで読まれ続けている理由となっている。

【アレンが伝えたいこと】

私たちの思考や言動の在り方(=原因)が、私たちの人生や周囲の環境(=結果)を生み出す。この因果関係は100%確実である。この法則を理解すれば、周囲への不平や嫉妬はなくなり、心に平和が訪れる。それこそが、人生の究極の目的である。

要約&学びのポイント解説

第92位「歴史の大局を見渡す」ダラント

【どんな本?】

全11巻に及ぶ歴史書『文明の話』を著し、ピュリツァー賞を受賞したデュラント夫妻が、政治・経済・戦争・宗教等のテーマで、人類の歴史を巨視的に俯瞰する。

例えば1968年の時点で「平和な時代が30年も続けば、社会主義・共産主義は維持できなくなるだろう」とソ連の崩壊(1991年)を見据える卓越した歴史観が示されるような、洞察に富んだ名著。

【ダラントが伝えたいこと】

歴史を「巨視的に」見ると、現在の世界の状況や将来の見込み、人間の性質、国家の行動について理解が進む。人類は現在も多くの問題を抱えているが、過去の文明がもたらした豊かな遺産を受け継ぎ、新たな文明を築き、次代に伝えているという点においては、進歩していると言っていいだろう。

目下進行中の「資本主義vs共産主義」については、以下2つを心得て制御すべきである。

・経済力が平均以下の者だけが平等を求め、自分の優れた能力に気づいている者は自由を求める。
・経済力や能力が平均以下の人間は、宗教で慰めを得るか、共産主義で平等を求めるかのどちらかだ。

要約&学びのポイント解説

第93位「人体600万年史」リーバーマン

【どんな本?】

なぜ人類は体に悪いと知っていながら、糖や炭水化物を過剰摂取したり、運動を怠ったりするのか。その原因を「人類の生物的進化が文化的進化に追いついていないから」とした上で、進化生物学から考えられる医療・財政政策を提言する。

他にも進化生物学的な見地から、例えば「人間はより多くの子孫を残すために適用を繰り返してきた(例:心配性な種が生き延びてきた)のであって、必ずしも肉体的・精神的な幸せを促進するよう進化してはいない」といった知見も得られる、科学方面に教養を広げられる良書。

【リーバーマンが伝えたいこと】

人類は進化の過程で、環境の変化に自らを適応させてきた。例えば、栄養は取れる時に出来るだけ取って、脂肪として蓄えられるような個体が自然淘汰を勝ち抜いてきた。

しかし、現代の科学技術の急速な発展により、自然選択のペースと影響力を文化的進化のペースと影響力がはるかに上回ってしまい、人類は取りたいときに取りたいだけ栄養を摂取できるようになってしまった。この状況が糖尿病や心疾患といった進化的ミスマッチを生んでいる。

このミスマッチは、人類が健康的な生活様式を自ら選び取るようには、まだ進化しきっていないことから生まれる。現在の報酬(いまここでクッキーをもう一枚)をつねに遠い未来の報酬(年をとったときに健康でいられる)と比較して、報酬の価値を遅延の長さに応じて割り引くようなことをしてしまうのだ。

それを是正するには、政府が炭酸飲料やジャンクフードに重税を掛けたり、添加物情報の開示を義務付けたりするなど、人々の環境や行動自体を柔らかい強制力を持って変えていくしかないだろう。

要約&学びのポイント解説

第94位「徒然草」兼好法師(吉田兼好)

【どんな本?】

枕草子、方丈記と並ぶ日本三大随筆の一つ。「つれづれなるままに、日暮らし、硯に向かひて」の書き出しで有名。全244段。鎌倉時代的な「無常観」が通奏低音として流れるが、テーマは都での処世術から理想の生き方まで多岐にわたる。

日本中世を代表する知識人である兼好法師により、人生に関する深い洞察や、鋭い人間観察眼が展開されるが、一部、兼好の主観が爆裂している(結婚はしない方がいい、女は底意地が悪い等々・・・)もあり、楽しみながら読むことが出来る古典の名作。

【兼好が伝えたいこと】

世の中は無常であり、何かに執着するような人生ではいけない。人間はいつか死ぬのだから、様々なしがらみを捨て、今この瞬間を大切にし、本当に自分が生きたいような人生を生きなければならない。

要約&学びのポイント解説

第95位「伊勢物語」作者不詳

【どんな本?】

和歌を中心にストーリーが展開する「歌物語」ジャンルの代表作。平安時代に成立したが、その経緯や作者は不詳。平安初期の貴族である在原業平とされる主人公が、政治権力から離れた雅な世界で、スキャンダラスな恋愛を展開する。

軽はずみなワンナイトから、神聖なる巫女さんと恋に落ちてしまう段、好きでもない熟女を抱く段まで、ラノベのような感覚でスラスラ読める。哲学的思索に耽る場面は少なく、ひたすら雅で風流な世界を歌とともに楽しめる素敵な古典。

著者が伝えたいこと】

在原業平は、権力の面では藤原氏に押されっぱなしだったものの、風流で恋多き人生を送った。

中でも業平が本気で愛した「藤原高子(後の清和天皇の后)」は受け身で流されやすい女性であったし、同じく業平が愛した「恬子(伊勢斎宮)」は禁を犯しても業平に会いに行く強い女性だった。

好対照の二人であるが、どちらも身分の異なる禁断の恋物語であり、人々の関心をそそる。

要約&学びのポイント解説

第96位「ユダヤ人の歴史」シェインドリン

【どんな本?】

紀元前6世紀にユダ王国を滅ぼされて以降、国家というものを持たず、ユダヤ教のみでアイデンティティを繋ぎ、現代でも大きな影響力を持っているユダヤ人の歴史を概観する。

現代の国際社会を理解する上でも、ユダヤ民族に対する理解は必須。全人口のわずか0.2%程度のユダヤ人が、世界で大きな影響力を保持しているのか。世界史通史は卒業し、個別の重要テーマを通じて、現在起きていることを理解したい人に特におすすめの一冊。

【シェインドリンが伝えたいこと】

ユダヤ人は大きな民族の中の少数派以上の立場を持たなかったため、その歴史を詳述するのは困難である。しかし、ユダヤ人の永続性やその多様性は注目に値する。

約2500年前に祖国を失ったユダヤ人は、中東・ヨーロッパ・北アフリカ、そして近代ではアメリカ大陸に離散し、概ね差別・迫害されていたが、その人的ネットワークや知的資源、金融資産等をもとに、大きな影響力を行使したケースもある。

私(=著者)はユダヤ人であるが、自分達が種々の伝統を維持しながらも、それぞれの国家や文化に適応しつつ、しかも互いに影響しあってきたことに関心を持っている。歴史を学ぶものは、より広い視野を手に入れるために、様々なテーマに関心を持つべきだ。

要約&学びのポイント解説

第97位「アンダルシーア風土記」永川玲二

【どんな本?】

古代からキリスト教・イスラム教・ユダヤ教がせめぎ合った民族の交差点「アンダルシア地方(スペイン南部)」のダイナミックな歴史を概観する。

特に15~18世紀の世界史に大きな影響を与えたラテン系地中海民族が持つ「陽気さ」と「いい加減さ」と「残虐性」の歴史的背景を体系的に知ることができる一冊。世界史通史を卒業し、テーマ史に関心を持っている人に特におすすめ。

【永川玲二が伝えたいこと】

アンダルシアは民族の交差点である。東西軸はエジプト・エーゲ海から大西洋へ。南北軸はアフリカからジブラルタル海峡を経てピレネー山脈へ。この地だからこそ、異文化を鷹揚に受け入れるオープンマインドな文化が成立した。

要約&学びのポイント解説

第98位「昨日までの世界」ダイアモンド

【どんな本?】

人類の祖先が約600万年にわたり送ってきた生活の特徴が残る「伝統的社会」の人間関係・紛争解決・子育て・高齢者対策・宗教・病気対策・政治などを理解することで、最近1万年で形成された現代人間社会の特徴を浮き彫りにする。

さすが『銃・病原菌・鉄』でピュリッツァー賞を受賞した巨匠ジャレド・ダイアモンドだけあって、進化生物学や文化人類学に造詣が深くなくてもどんどん読み進められる。ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」と併せて読むと、理解が格段に深まる。

【ダイアモンドが伝えたいこと】

「伝統的社会」と「現代社会」は、それぞれの環境に応じて最適な仕組みで運営されており、連続的なものである。現代社会のもたらす恩恵も大きいが、伝統的社会から学ぶべき点も多くある。

要約&学びのポイント解説

第99位「進化は万能である」リドレー

【どんな本?】

人類が生み出してきたあらゆる文明(科学技術・宗教・文化・政府・経済など)は、生物の進化と同様、自然淘汰でボトムアップ的に形成されてきたものであると主張する。

ダーウィンの進化論を他の分野にも敷衍し、あらゆる事象は環境や人間活動による自然淘汰の結果として形成されたものとする「進化生物学」の思考軸を身に着けたい人に特におすすめ。

【リドレーが伝えたいこと】

世の中の森羅万象は、神のようなデザイナーがいるわけではなく、自然環境や人間の生存活動の結果として説明できる。

特定の神や人物がトップダウンで人類に何かをもたらした例はなく、科学技術・宗教・文化・人格・政府・経済・教育・通貨からインターネットにいたるまで、全て人類がボトムアップで作ってきたものである。

しかし人間は弱く、科学的・論理的に説明できない事象に対しては、すぐに「神」や「その他の何か」を持ち出す傾向がある。これは戒めなければならない。

要約&学びのポイント解説

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