【人事部長の教養100冊】
「思考は現実化する」
ナポレオン・ヒル

思考は現実化する

「思考は現実化する」
ナポレオン・ヒル

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基本情報

初版   1937年
出版社  きこ書房
難易度  ★★☆☆☆
オススメ度★★★☆☆
ページ数 96ページ
所要時間 1時間30分

どんな本?

鉄鋼王カーネギーから依頼を受けた*筆者が、成功者に共通する資質や行動を20年かけて「17のゴールデンルール」に体系化した成功ノウハウ本。1937年の刊行以来、世界で1億部以上売れたと言われている歴史的大ベストセラー。

*カーネギー側はこの事実を認めていない

若干精神論に偏った記述も見られるが、「17のゴールデンルール」には、時代や社会背景を超えた普遍的な成功パターンが含まれており、自己啓発本の古典的名著と言って差し支えないクオリティと言える。

著者が伝えたいこと

具体的な目標とそこに至るプロセスを何度も何度も「思考」することによって、その目標は「現実化」する。これまでの成功者は、共通して「正しいマインドセット」「正しい行動」「正しい人間関係」に関する17個のルールを実践していた。

著者

ナポレオン・ヒル
Napoleon Hill
1883年-1970年

※ナポレオン・ヒルの生涯や業績については疑義が多く、英語版wikipediaではヒルが「鉄鋼王カーネギーと会談した証拠」「ウィルソン大統領を補佐した証拠」「弁護士だった証拠」等はないとされています。

※ヒル側は「カーネギーが3日3晩、ヒルに成功哲学を語った」「カーネギーはヒルに対して『成功者500名を紹介するので、20年かけて成功ノウハウをまとめてほしい。ただし無償』という依頼をした」「ヒルは29秒でその依頼にyesと回答した」と言っていますが、カーネギー側はそれを認めておらず、真偽は定かではありません。

アメリカの著作家。バージニア州出身。法律事務所勤務、自動車関係の学校経営などを経た後、1925年に出版した『成功の法則』がヒット。1928年には本書を出版し、著作家としての地位を不動のものとした。

ウィルソン大統領の広報担当補佐官、フランクリン・ルーズベルト大統領の顧問官を歴任。また、講演家としても活躍。大富豪の一人としてその名を残している。ナポレオン・ヒル財団を設立した後、1970年に87歳で没。

こんな人にオススメ

何か具体的な目標がある人、自己啓発本の古典に触れたい人

書評

著者紹介でも触れたとおり、著者が本当に鉄鋼王カーネギーと面談したかどうかも怪しく、また書かれている内容も、怪しげな新興宗教になるかならないかスレスレの精神論を含んでいる。

しかし「17のゴールデンルール」には、確かに時代や社会背景を超えた普遍的な成功パターンが含まれており、出自を横においておけば、自己啓発本の古典的名著と言って差し支えないクオリティと言える。ただし、テクニック論が多く、類似した自己啓発本(7つの習慣人を動かす自助論等)に比べると、思想的な深みは少ない。

なお、原著版は文庫で上下計約800ページあるが、同じ内容の繰り返し部分が多く、また文字情報ばかりで多くの時間がかかるため、本サイトでは「図解強化版」を基本とし、皆さまにもそちらをオススメする。

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要約・あらすじ

17のゴールデンルール(体系図)

※以上は、ヒルが示した「17のゴールデンルール」を整理したものです
※ただし、分類や順番、表現は原書と異なる場合があります

学びのポイント

成功の定義

成功とは、他人の権利を尊重し、社会正義に反することなく、自ら価値ありと認めた目標(願望)を、黄金律に従って一つひとつ実現していく過程である。

ヒルは成功を1つの本質と2つの条件から定義している。当たり前のことだが、何も「目標」の無い人にとっては、本書は無用の長物となるので注意が必要。

【本質】
自らの目標を実現する

【条件】
①他人の権利や社会正義を侵害しない
②黄金律に従う(他人も望むであろうことを目標にする)

「黄金律」とは日本人にはあまり馴染みがないかもしれないが、”Golden Rule”の和訳で、もともとは新約聖書が出典の宗教用語である。

何事でも人々からしてほしいと望むことは、人々にもそのとおりにせよ

『マタイによる福音書』七章一二節

つまり「黄金律に従う」とは「他の人も望むであろうことを目標にせよ」ということであり、当たり前のことであるが「麻薬取引で一攫千金」というのは成功にあたらない。ヒルは「自らの目標と社会のニーズは整合していなければならない」ということを言っている。

なお、ここで出てくる「黄金律」は、キリスト教に限らず他の宗教でも説かれており、全世界的に普遍的なものと言える。著名な自己啓発本にはほぼ必ず登場するので、押さえておきたい。

「己の欲せざる所は、人に施すこと勿れ」論語(儒教)

「人が他人からしてもらいたくないと思ういかなることも他人にしてはいけない」マハーバーラタ(ヒンズー教)

また、仏教ではこの教えは明示されていないが、根本として人間には「私」や「あなた」と区別する意味がなく、皆、精神共同体の一員であるという教えがある。つまり、他人がしてほしくないことをすることは、自分を傷つけることになるという教えとは整合的と言える。

「思考は現実化する」の本質

【ゴールデンルール1 目標を明確化する】

①願望を明確化する
②それに伴う代償を明確化する
③最終期限を決める
④プロセスを明確化する
⑤以上を紙に書く
⑥1日2回、声に出して読む

思考というものは、一つの実体、しかもその思考内容そのものを現実化しようとする衝動を秘めている実体と言ってもよい。それは強力なエネルギーを持っている。

本書の邦題名は『思考は現実化する』であるが、その本質はゴールデンルールの一つ目「目標を明確化する」で述べられる。

思考は自動的に現実化するわけではなく、上記①~⑥のステップを踏むことによって、ゴールとそこに至るプロセスが自分の中で具体的にイメージできるようになり、ゴールに向けてスムーズに進むことが出来るようになる、ということである。

また同時に、人間の脳は理想と現実を見分けるのが苦手であるという性質を利用して、ゴールに向けてスムーズに進んでいる理想の自分を脳に刻み込み、現実の世界でもそれを実現するという「イメージトレーニング」にもなっている。

事実、頭の中である運動をイメージしただけで、その動作に関係している筋肉群が反応したり、口に出さずに言葉を思い浮かべただけで、しゃべる運動を司る脳部位が活動したりすることが、科学的に立証されている。

古今東西、様々な人がこの「目標を明確化する」ルールを実践しているが、ビジネスの世界では京セラの創業者である稲盛和夫さんが著書『生き方』でこんなことを仰っているので、ご紹介したい。

稲盛和夫
稲盛和夫

・物事成就の母体は強烈な願望である。

・思い、考え、練っていくことをしつようにくり返していると、成功への道筋があたかも一度通った道であるかのように「見えて」きます。

・しかも、それが白黒で見えるうちはまだ不十分で、より現実に近くカラーで見えてくる――そんな状態がリアルに起こってくるものなのです。

・逆にいえば、そういう完成形がくっきりと見えるようになるまで、事前に物事を強く思い、深く考え、真剣に取り組まなくては、創造的な仕事や人生での成功はおぼつかないということです。

稲盛和夫『生き方』第1章より抜粋

また、2000年頃に日本でも大ヒットした『チーズはどこへ消えた?』では、同じことが以下のように表現されている。

事態が一層よくなるように、ホーはもう一度、心の中でイメージした。チェダーからブリーまで(!)、自分の好きなあらゆるチーズの山に囲まれた自分の姿を、細かいところまで思い描いたのだ。好きなチーズをあれこれ食べているところも想像して、楽しんだ。こんなふうに多くのものを味わえたらどんなに愉快だろう。(中略)

まだ新しいチーズが見つかっていなくても、そのチーズを楽しんでいる自分を想像すればそれが実現する。

これは大それた目標でなくとも、応用可能である。例えばあるプロジェクトがあるとして、当面の目標を「今月末までに社長のオーソライズを得る」と設定したとする。

その瞬間に、いつまでに○○部の了解を取らなければいけないとか、そのためには来週までに○○さんに話をしておかなければならないとか、そのための説明用資料を整理しなければならないとか、そこに至るプロセスが明確になる。仕事を「出口」から考えるということは、無意識的に皆さんも実践しているのではないでしょうか。

時間とお金の「投資」「消費」「浪費」

お金の用途は大きく三つに分けられる。消費、浪費、投資だ。

浪費のようなムダ遣いは当然なくすべき課題だとして、消費と投資について、ここでもう一度見直してみよう。消費にあてているお金は、生活を維持するために、あるいは豊かにするために本当に必要なのだろうか。また、投資にあてているお金は、目標を実現する上で本当に必要なのだろうか。

こちらも多くの自己啓発系の本で触れられているが、人の時間・お金・パワーの使い道には、大きく「投資」「消費」「浪費」の3つがある。

投資・・・将来のために、現在、何かを為すこと(英語の勉強等)

消費・・・現在のために、現在、何かを為すこと(趣味のカラオケ等)

浪費・・・無駄遣い(ダラダラスマホなど、自分で不本意と思った全て)

投資と消費は必要、浪費は不要だ。将来のためと言って、「投資」ばかり行い、今を楽しまなければ、息が詰まってしまう。かといって「消費」ばかりでは、将来的に行き詰まる。人生にはダラダラ過ごす時間も必要だろうが、意識的にダラダラしているなら消費、そうでないなら浪費だ。

そして、この投資と消費のバランスは、人によっても、人生のステージにおいても異なる。若いうちは、当然ながら「投資」に重心が置かれるべきだろう。大人よりも、1単位あたりのリターンが大きいからだ。

一方、40代を超えたような大人は、「消費」を増やして、人生を楽しむというのも一つの選択肢だ。80歳になってから、外国語を習得しようとしても、それが活かされる前に命尽きてしまうかもしれない(趣味、つまり消費として学ぶ分にはよいだろうが)。

この、「時間」「お金」「パワー」×「投資」「消費」「浪費」は、成功のみならず、豊かな人生を送るために、常に意識しておくべきではないでしょうか。

人事部長のつぶやき

プロスポーツ選手には4~6月生まれが多い

自分の心をコントロールするとき、その推進力となるのが「自信」と「信念」である。

かなり有名な話ですが、奈良女子大学の研究チームがまとめたデータによると、4〜6月生まれのJリーグ選手は全体の34・7%、プロ野球選手は32・8%でした(平均すれば25.0%になるはずです)。
※出典:「早生まれ」はやはり不利!(産経新聞 2017年8月14日)
https://www.sankei.com/article/20170814-XKVLPCBW65MJNBKCXOBBIMPRGA/

理由として考えられているのが、本書でも触れられている「自信」と「信念」です。

日本の学校では4月生まれから翌年3月生まれまでの子が同じ学年になりますが、当然ながら4月生まれの子は翌年3月生まれの子より、約1年も早く成長しています。

スポーツも勉強も4月生まれの子の方が優れており、「自分は出来る」という自信や信念を持ちやすいというのは納得できる理由です。

他にも、子どもを二つのグループに分け、一つには「あなた方は成績が優秀なグループ」と伝え、一方には何も伝えずに試験をすると、前者の方が成績が良いといった研究結果もあります。

「自信」と「信念」の大切さは、直感的にも理解できますね

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