【人事部長の教養100冊】
「星の王子さま」
サン=テグジュペリ

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星の王子さま(表紙)

「星の王子さま」
サン=テグジュペリ

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基本情報

初版   1943年
出版社  角川書店等
難易度  ★★☆☆☆(ただし奥は深い)
オススメ度★★★★☆
ページ数 158ページ
所要時間 2時間00分

どんな本?

全世界で8000万部以上発行されたベストセラー小説。「大切なものは、目に見えない」「大人は最初、誰でも子供だった」というフレーズで有名。故郷の星を離れて地球にやってきた小さな王子さまを通じて、人間同士の絆の大切さを訴える。

「本当に大切なものを大切にしていない」大人達がたくさん登場するので、読者は「自分はそうなっていないか」と自省しながら読むことができる。忙しい日々に疲れた時に、自分を見つめなおすことができる一冊。主人公の王子さまの、少し生意気で、しかしそれで際立つ純真さが強く深く胸を打つ。

著者が伝えたいこと

大人は目の前の「やるべきこと」や「損得勘定」に囚われ過ぎていて、自分にとって本当に大切にすべき人や物事に対して、十分な時間と関心を振り向けられていない。

忙しい大人たちよ、一度立ち止まって、自分にとって何が大切なのかを考えてみるべきではないだろうか。大切なものができると、世界はより美しく、楽しく見え、自分はより幸せになれる。さあ、子供のころの純粋な心を取り戻そう。

著者

サン=テグジュペリ
Saint-Exupéry
1900-1944

サン・テグジュペリ
旧50フラン紙幣に描かれたサン・テグジュペリ

フランスの作家、操縦士。リヨンの元伯爵家に生まれる。兵役で操縦を習い、のち民間航空の操縦士となる。

パイロットの体験をもとに人間の崇高さ、勇気、知恵などを扱った作品を発表し、人気を博す。第2次大戦に志願兵として従軍中、コルシカ島から偵察機で出撃したまま行方不明となった。

なお、ドイツ空軍にも信奉者はおり、サン・テグジュペリが所属する部隊とは戦いたくないと語った兵士もいた。サン・テグジュペリの偵察機を撃墜した元ドイツ空軍のホルスト・リッパートは、後に、「長い間、あの操縦士が彼では無いことを願い続けた。彼だと知っていたら撃たなかった」と語った。

こんな人にオススメ

日々の生活に追われる全ての大人たち

書評

童話の体裁を取っており、当然子どもでも楽しめるが、著者が伝えたいメッセージは大人向け。

言葉遣いは平易で、文庫本で150ページ程度ということもあり、半日かからず読み切れてしまう。大人こそ読むべき一冊。

\本書は30日間、無料で読めます!/
\専用端末無しで読めます!/

サン=テグジュペリ
(角川文庫)

※忙しい日々に疲れた大人にこそおすすめ!

要約・あらすじ

■僕が6歳だった頃、一生懸命に想像力を働かせて書いた2枚の絵が大人たちから酷評された。それ以来、僕は画家になることを諦め、操縦士になった。ある時、飛行機が故障して不時着した砂漠で、小さな惑星から来た「星の王子さま」と出会う。

■王子は自分の星で美しい薔薇を育てていた。薔薇は彼の星を良い匂いで満たしてくれていたが、色々とわがままを言うので、王子は星を出てしまう。王子はこのことを「薔薇の本心を、言葉だけではなくて、行動で理解すべきだった」と後悔していた。

■星を出た王子は、次々と6つの星を訪れるが、そこにいたのは「〇〇があれば幸せになれる、〇〇があれば救われる」と信じている愚かな大人たちだった。

■王子は地球に到着するとキツネと出会う。キツネからは「絆を作るには時間がかかる」ことや「大切なものは目に見えない」ことを教わり、改めて星に残してきた薔薇のことを想う。

■不時着してから1週間が経ち、ついに飲み水が底をついた。王子と一緒に井戸を探しに歩くが、王子は疲れて寝てしまう。その寝顔を見ながら、僕は王子が薔薇を大切にする純粋な心を持っていること、そして王子が僕と絆を作りたがっていることに気付く。

■僕と王子は井戸を見付けて喜びを分かち合う。僕たち二人には確実に絆が出来ていたが、王子は大切な薔薇のために、星に帰る決心をしていた。

■王子の体は星に帰るには重すぎたので、蛇に自分を噛ませて魂(=薔薇への想い)だけで帰っていった。僕は今でも星を見上げると、王子のことを思い出して、笑みがこぼれる。

◆一方の王子は王子で星を見上げると僕と井戸のことを思い出す。僕と王子は、しっかりした絆を作ったのだ。だから世界が美しく見えるのだ。

学びのポイント

本当に大切なものを大切にしよう

キツネは王子にこう言った。

「もし僕が君(王子さま)になつき、君が僕になつくなら、お互いに特別な存在になれる。」

「いま、小麦畑を見ても何とも思わないけど、君になつけば、小麦畑の金色を見るたびに、君の金色の髪を思い出すだろう」

「人間は友達を『買える』と思ってる。でも友達はお互いに『なつく』という行為を通じてしか作れない。我慢強くなければいけない」

「僕の秘密をいうよ。すごくかんたんなことだ。心で見なければ、よく見えないっていうこと。大切なことって、目には見えない」

「君が君の薔薇のためだけに使った時間が、君の薔薇をあんなにも大切なものにするんだよ」

「人間たちはこの真実を忘れてしまった。でも君は忘れてはいけないよ。君はなつかせた相手に対しては、ずっと責任があるんだ。君は君の薔薇に対する責任がある……」

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これらの引用は本書最大のメッセージと言える。特に「絆という大切なものは目に見えない」「絆を作るには時間がかかる」「絆を維持するのは双方の責任」という3つがエッセンスとなる。

みなさんはどうだろうか。「本当に大切な人や物事」に、十分な時間と関心を振り向けられているだろうか。

人間を取り巻く基本的な構成要素には、大きく、
①家族・親族
②仕事・社会
③友人・プライベート
④自分自身
の4つがある。

人によって優先順位は異なるだろうが、自分が本当に大切にしたいと思っている要素を本当に大切にできているか、定期的に点検してみると良いかもしれない。

そして理想としては、これら全ての要素をバランスよく大切にできるのが一番良いと言える。なぜなら、仮に何かの要素がうまくいかなくとも、他の要素がそれをカバーしてくれる可能性があるからだ。

例えば、家族とうまくいかない時には、友人が相談に乗ってくれるかもしれない。仕事で行き詰っていても、自分自身にバイタリティが漲っていれば乗り越えられるかもしれない。図示すると以下のようになる。

4つの世界

自分の人生、仕事ばかりに追われていないか、自分の事ばかりを考えて家族を蔑ろにしていないか、友人のことも大切にできているか、、、絆は目に見えないからこそ、定期的に自省したいものである。

少年の心に帰ろう

【引用①:大人に心を閉ざすきっかけ】

(僕は「大蛇が象を飲み込んだ」絵を2枚描いて大人に見せたが)大人たちは僕にこう勧めた。おなかの中が見えようが見えまいが大蛇の絵のことなんか忘れて、地理とか、歴史とか、算数とか、文法を勉強したらどうなんだい、と。

それでぼくは六歳にして、画家という素晴らしい進路を諦めた。僕の絵第一号と僕の絵第二号の失敗で、めげてしまったのだ。

僕の絵第一号
僕の絵第二号

【引用②:王子に心を開くきっかけ】

(王子から羊の絵を描くようにせがまれたが)羊の絵は描いたことがなかったので、僕は彼のために僕に描けるふたつきりの絵のひとつをまた描いてやった。外から見た大蛇だ。するとおちびちゃんがこういうので、すっかり驚いてしまった。

「だめ!だめ!大蛇のおなかの中の象なんていらないよ。ボアなんて危険すぎるし、象は場所をとりすぎ。おれんちって、すごくちっちゃいからさ。羊が欲しいんだよ。羊を描いてくれってば」

【引用③:閉じ込められた羊は何かを封印した象徴】

(僕は王子にいくつかの羊の絵を描いたが全てダメ出しされたので)こんな絵を殴り描きした。そして言ってやったのだ。「これはね、箱だよ。君が欲しがっている羊はその中にいるよ」

するとこの小さな審査員の顔がぱっと明るくなったので、僕はひどく驚いた。「まさにこんなやつが欲しかったんだよ!この羊、草をいっぱい食うかな?」「どうして?」「だっておれんちって、すごくちっちゃいから……」「それはだいじょうぶ、絶対。ほんのちびすけの羊だからね」彼は絵にむかって首をかしげた。「そんなにちっちゃくもないじゃん……おお!寝ちゃったよ……」こんなふうにして僕はちび王子と知り合ったのだ。

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本書最大のメッセージが「本当に大切なものを大切にしよう」だとすれば、それに次ぐメッセージは「少年の心に帰ろう」ということになる。

「僕」は自分に絵のセンスがあると思っていたが、周囲の大人達が否定的だったため、それ以来、絵を描くことをやめてしまう。しかし、王子は「僕」の絵が何を表しているかを瞬時に見抜いてくれた。これをきっかけに「僕」は王子に心を開いていくようになる。

そして、王子から羊の絵を何度も書き直させられた「僕」は、最後には箱の中に入った羊を描く。これに対する解釈は様々だが、「画家になりたいという気持ちを封印した自分」を表しているとするのが一般的になっている。

皆さんはどうだろうか。子供の頃に無邪気に描いていた夢や希望を忘れていないだろうか。そしてそれを理解してくれる友人は周囲にいるだろうか。

サン=テグジュペリ
(角川文庫)

※忙しい日々に疲れた大人にこそおすすめ!